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第66話

気になる話 6 女は星の数ほどいる。 失恋した男に慰めの言葉として用いられることが多い言葉だが、どうやらこれは俺も使用できるらしい。 過去に抱いた女の人数なんて数えたことがない俺は、女を女としてしか捉えたことがないから。個人として、固有名詞や容姿を覚えていることもなければ、どんなことをしたかも記憶にないけれど。 時効だと、自分自身で発言した言葉が頭の中で引っ掛かり、俺はあることを思い出して。 「愛奈ってクソアマは、俺らの1つ下だろ……ってことはつまり、4月の時点でそのクソアマはまだ入学したばっかってことになる。んで、俺が仔猫に惚れたのが4月の始めなワケだ」 「サークルの飲み会って、4月にしなかったっけ……ん、違ぇ、白石は2年の時にはもうサークルにいなかったもんな。でも愛ちんと白石がヤッたって話を聞いたのは、新入生歓迎会の後……あれ、え、じゃあお前は愛ちんとどう知り合ったんだ?」 「だろ、なんかおかしくねぇーか?」 俺が星と出逢った日のことは、今でも何一つ忘れていない。桜が散り切る前の4月始め、俺が大学2年の春、俺はアイツに恋をした。 その後、俺は星以外の他人と身体を重ねたことはない……となると、俺はどうやってそのクソアマを抱いたんだ。 「でもよ、俺は確かに愛ちんが白石とヤッたってサークルの先輩から聞いたぜ?」 不確かな情報しか得られない中、これまた信憑性がないこと言ってくる康介に対して俺は自分が持っている確かな情報のみを告げる。 「俺からじゃねぇーじゃん、ついでにそのクソアマからでもねぇーんだろ。俺は2年になってから仔猫以外抱いてねぇーし、あの時の俺は結構ご無沙汰だったハズ」 「言われてみれば、そうかもしんねぇわ。お前と子猫ちゃんのドピュッピュ記念日を俺が定めてやったんだし」 「記念日はどうでもいいけど、あれ確かお前の誕生日の後だっただろ?俺がクソアマ抱く暇なんて、その頃には皆無だったワケ」 「でもその頃に、愛ちんは先輩と付き合ってたんだよ。やっぱ変だな、変な気がしてきた……え、じゃあ白石と愛ちんがヤッたってのは……」 「デマだな。そのデマを何の疑いも持たずに、今まで信じてたお前のバカさに俺は関心する」 サークルを勝手に辞めた俺への恨みなのか、はたまた別の理由があるのかは定かじゃないが。どちらにしろ、俺は誰かも分からぬ先輩とやらとクソアマに、濡れ衣を着せられていただけらしい。 「だってよ、子猫ちゃんと付き合う前の白石なら何してても不思議じゃねぇんだもん。けど、今考えてみるとおかしな話だよな。なんで俺は、今まで嘘を信じてたんだ?」 「バカだから、以外の理由なんてねぇーだろ。俺はお前のバカさに巻き込まれただけの可哀想な被害者ってコト、時効関係なく俺は最初から無実だったわ」 「じゃあ、愛ちんがおかしくなったのはお前じゃなくて先輩にヤリ捨てられてからってことか。すげぇじゃん、俺謎解いちった」 「元はと言えばお前が撒いた種だ、バカ」

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