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第66話●この世界から弾き出されたとしても

 俺の腰を掴み、指を食い込ませながらミカルの体が揺れる。  まだ硬さを残していた俺の最奥が次第に解れていき、体の芯へ甘い痺れが何度も走り抜けていく。  誰かに俺を奪われていく感覚。  どれだけ優しく好意的に交わったとしても、惨めさしか覚えなかったというのに。今は心の底からこの行為に歓喜し、少しでも多く快感を享受したがっている俺がいた。 「ぅ……ぁ……アッ……んン……っ……」  外に漏れてしまわないよう押し殺していた声が、思わず大きく出てしまう。  やはりそれはまずいのか、それともたまたまなのか、ミカルは唇で俺の口を塞ぎ、上と下で深く睦み合っていく。  もっと欲しい。もっとミカルでこの身を満たしたい。  沸き上がる衝動のままに俺はミカルへしがみつき、腕に力を込める。  ふわり。汗ばんだミカルの体から、かすかにバラの香気が漂う。体が過敏になっているせいだろうか。前の時は気づかなかった。  甘くて酔いしれたくなるミカルの匂い。  延々と徒歩で逃げ続けて疲れているはずなのに、息を吸い込む度に全身に精気がみなぎり、体はミカルの刺激を余さず受け取って快感へと昇華していく。  体が冴え、より淫らにミカルを求める獣へと育っていくのが分かる。  もうミカルと快楽を積み上げていくこと以外、何も考えられない。  逃げた後のこれからも、同胞たちとの関係も、俺を長年支えてきた者のことも──すべて俺から追い出され、頭の中が白紙になっていく。  人に散々汚され、心に癒えぬ傷を負わされた俺を救ってくれたのに。そんな同胞たちよりもずっと敵対してきた退魔師を選び、この身に嬉々として招くなんて。  きっとミカルとこの行為を続けるというのは、二人してこの世界からはぐれていくことなのだろう。  どちらからも認められず、受け入れられず、拒絶されて、二人だけで生きていかなければならない。  楽な道ではないのは、快楽に侵された頭でもよく分かる。  それを悲しむどころか、ミカルと手を取り合って抜け出ることができると喜びを覚えてしまう。奥を抉られ、快感がこの身を貫くほど、より強く──。 「ン……っ、ん、ぁ……ンン──ッ……ンッ、はぁ、ン……」  どこまでも昂った体が大きく弾け、ミカルを中で激しく抱擁する。穿つ動きは鈍るが、それでも俺への刺激を止めてはくれない。  快楽の痙攣が収まらない俺の中を、ミカルは緩やかに壊し続ける。  そうしてミカルの熱い精が最奥へ注がれた時、俺の一番深い所まで愉楽の痺れが行き渡る。  満たされていく。  理不尽に奪われ続け、ずっと穴だらけだった胸奥をミカルが埋めていった。

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