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第13話

「ま……だ、挿入(はい)る、のか……」 「もう少し、だから、頑張って……」  息も絶え絶えに問う私に敏也は微笑み混じりに返事をする。敏也が小さく息を詰めると、ぐっ、と腰を打ち付けた。 「ああんっ!」 「ふふ、かわいい。これで全部挿入ったよ」  思わず口をついた甘い喘ぎに自分でも驚いた。顔を赤くして視線を反らせた私に真剣な声色で敏也が言った。 「ありがとう、千晶さん」  敏也が優しく私の頬に手を添える。目の縁を赤く染め、淫らな雄の匂いを纏いながらも、敏也の真摯な視線に私も応える。 「こんな頼りない僕を受け止めてくれて。実は、僕はあのまま彼女の偽りの夫として一生を終えると思っていた。だけど、嫌だと感じる心が生まれたのは千晶さんのおかげです。そしてこうして今は貴方と繋がっている。身も心もこんなに満たされる行為があるんですね……」 「……まだだ」 「え?」 「まだ私は満たされていません。もっと貪欲に君が欲しい。そして君にも私を求めて欲しい。もっともっと……。私達はこれから誰にも気兼ねなく、求め、与え続けることができるでしょう?」 「っ! 千晶さんっ!」  大きく私の名前を叫んだ敏也が溢れんばかりの熱情を私に打ちつけてくる。 「やっ、あっああっ!」

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