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9.伊藤 宗壱(理宇✕宗壱)

 お風呂上がりでホカホカのオレを、本日未使用のもう一台のダブルベッドに載せる。素っ裸でのんびりうつらうつらする横で、まめまめしい恋人の気配。  お茶を口移しする。汚れたシーツと防水カバー類を外して、洗濯機にかける。たんぱく質汚れの洗濯乾燥機までは二人の分担、アイロンと収納は家事代行にこにこサービスのお仕事だ。  寝落ちしかけたカラダが、急にじんわりと重くなる。理宇の肌の感触。熱い左手が、うつ伏せのオレの背骨をポコリポコリとなぞる。 「ね、そーいち。甘えていい?」 「……ん」  オレも、もっとくっつきたい。また一つになりたい。望むところだ。  『理宇さえいれば、他に何もいらない』なんて一切思わない。悔しい。全世界に認められたい。だって、大好きだもん。  理宇の両手がそれぞれ、オレのおしりの双丘を掴む。グッと外向きに力が入り、三回戦で柔らかく解れた後孔が、子供部屋の空気に晒される。 「そーいち、えろい。まだとろとろ」  親指がちょんと触れる。入り口が意思とは関係なく、ひくりと勝手に動く。内部に残る潤滑液が、きっと理宇を汚した。  今更なのに、何だか恥ずかしくなる。逃げるみたいに枕に顔を埋める。   「そのままゆっくり寝てて」  背中の上で、コンドームの袋を破る音がした。  ゆっくりゆっくり、ぐでリウから大きく復活した剛直が入ってくる。二つの丸みを押し広げ、隠されてた蕾に呑み込まれていく。  グッと最後のひと押しを終えると、そのままカラダを倒して、オレの背にぴったりと上半身をくっつけてくる。重い。動けない。でもこの重さが理宇を全て受け止めてる感じがして、満たされる。  挿していく動きから、腰だけをゆっくり離して抽く動きへ。カラダは重ねたままで。 「ふぁぁぁーーーぁっ」  さっきまでとは違う声が出る。激しい律動とは異なる、本能が引っ張られるような痺れ。 「あぁーーーっ、り、う、ああーーーっ」  ナカが弦楽器になったみたいだ。ゴツゴツした雄の生殖器が、前立腺をかすめ、腸襞をこすり、膀胱や精嚢を押す。奥をじっくり突いて、また戻っていく。太い弓が一本ずつ弦を弾いて、途切れない長い音を奏でるみたいに。繰り返し、繰り返し。 「ぁ、あ、ぁ、ぁあーーーっ」 「そーいち、ぅあ……そー、いち……」  理宇が無意識にオレを呼ぶ。切ない低音と吐息が耳朶にかかる。  芯からほんのり温かくなる。しっとりと汗ばんで、硬いはずの筋肉が二つ、柔らかく寄り添う。気持ちがいい。 「んん……はぁ、イイ……そーいちっ、そ……」  動けないのにふわふわと心地良く、でも心許なくて、顔の下の枕の縁にしがみつく。その拳が、理宇の大きな手のひらで包まれる。腕まで密着度が増す。 「あーっ、あ、あ、あ、あああーーーっ」  絶頂に追い上げられるというよりは、絶頂の沼にカラダが引かれて堕ちていく。どくどくと脈動が鎮まらない。  理宇の形をはっきり感じる。ナカの猛々しい弓も、汗に溶けて一つにくっついた全身の形も。 「……っあ、っはあ、そーいち……っう、出るっ」  肩をはむはむと喰んでいた甘噛みに、くっと力が入る。オレの肌に歯が食い込む。ズンと太くなった性器が、ゴム越しに熱い液体を長く長く吐き出す。  でも、腰の動きは緩慢にオレを弾き続け、なかなか止まらない。  そっと抜かれる感覚に震えながら、意識は夢に転げ落ちそう。 「そーいちは、そのままゆっくり寝てて」  体力を使い切り、うつ伏せで眠りかける。と、また温かな重み。  あっ、うそ、ああっ……え? はあ……っ? りう……っは、また入って、きたぁ……  明日の朝練は絶対無理だ、なんてチラッと頭をよぎる。オレは満たされて、五感を手放した。 【高等部一年生秋・終】  日常物なので、一旦完結です。大人になるまで続いていくので。  ご覧いただきありがとうございました。見初めてもらえたら嬉しいです。  ハネたら、続きを二人が書いてくれるでしょう。(オンラインHと4Pかな)

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