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第76話 魔王ですと?

7ー8 魔王ですと? とにかく、あいつには、言いたいことがいっぱいあった。 あいつが他のみんなに素股でやる方法を教えたせいで、俺は、迷惑しているんだよ! みんなが素股でしようとするもんだから、俺は、内腿が擦れて赤くなって、ひりひりしているし。 かといって、本番をやるのはちょっとまだ心の準備ができてないしな。 どうすれば、いいんだ? 俺がうつうつとしながら部屋の荷物の片付けをしていると不意に背後から声がした。 「何を、考えてるんだ?レンタロウ」 その低く、よく響く男らしい声に、俺は、はっとして振り向いた。 そこには、白い神官風の服を身に付けた長い白金髪の美しい男が戸口にもたれて立っていた。 俺は、少し、肩を落としていた。 あいつかと思ったのに。 「どうした?レンタロウ」 光の精霊王は、俺の反応に不満げな声を漏らした。 「この私が会いに来てやったというのに、なんだ?そのしけた顔は?」 「別に、呼んでないし」 俺は、教科書を片しながらちらっと横目で精霊王を見た。 この男は、言葉では言い表せないぐらいすごい存在なのらしい。 まあ、グーリスじいちゃんの言うことには、だがな。 じいちゃんは、少し、大袈裟なんだよ。 「つれないな、レンタロウ。あの夜のお前は、あんなに可愛かったのに」 はいぃっ? 俺は、はたと手を止めて顔をあげて精霊王を見た。 「あの夜って?」 「決まっているだろう?お前の初染めの夜のことだ」 ええっ? 俺は、手に持っていた本をばさっと落としてしまった。 どういうことだ? 俺は、恐る恐るきいた。 「もしかして、あんたが5人目か?」 「なんのことかわからんが、そうだともいえるし、そうでないともいえるだろうな」 精霊王は、俺の落とした本を拾い上げると近くの机の上に置いた。 俺は、精霊王に詰め寄った。 「どういうことだよ?」 「だから」 精霊王は、俺の方へと手を伸ばしてくるとそっと俺の髪に触れてきた。 「私には、兄がいてな」 はい? 俺は、訝しげに精霊王を見上げた。 奴は、話を続けた。 「人間たちからは、闇の精霊王あるいは、魔王と呼ばれているようだが」 ええっ? 俺は、思わず、目を丸くしていた。 ま、魔王ですと?

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