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No.40 梔子

雨の中、傘を差さずに訪ねてくるのは濡れた服を脱ぐためだ。土砂降りの雨音は君の声を消すためだ。湿った肌からたちのぼる梔子は甘く、白く煙る水の中、重ねた雄と雄とが導く愉悦に息を乱し、喘ぐ。熟れた果実のような蕾に私の楔を沈めたら、後は何も考えまい。雨は激しく降り続く。私たちは獣になる。

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