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第6話 王都カフェへ行こう
お兄様と秘密の約束した僕はすっかり浮かれてしまっていた。
お兄様が閨のお勉強をいつするのかは知らないけれど、楽しみだなぁ!
浮かれてた僕は従者のセブにちょっと怪しまれてしまった気がするけれど、秘密を守るべくいつものお勉強を頑張った。
僕はスペード伯爵家の次男だから、いわばスペアなんだ。
でもお父様は僕の事もとっても大事にしてくれてる。
もしかしてお母様によく似てるせいじゃないかな?
お父様はお母様の事をとっても愛してるから。
だってもう見てるこちらが耐えられないくらい甘ったるいんだ。
そんな2人を見てると僕もお父様みたいな人が現れてほしいなって思う。
あれ?何か僕って乙女思考かなぁ?
でも実際、お母様のお茶会にたまに来る僕と同世代の女の子たちは可愛いなぁとは思うけれど、護衛の騎士見習いたちの方が見ててドキドキするのは否めないんだよね。
しょうがない、彼らはとってもカッコいいから。
僕には無いあの力強い感じ。憧れちゃう。きっと無いものねだりなんだろうなぁ。
今日はお母様のお茶会でお友達になったタクシーム侯爵家の御嫡男ユア様のお願いで、一緒に王都にある我がスペード家経営のカフェへ行くんだ。
ユア様は年は僕よりひとつ下の9歳なんだけど、背は僕より大きいし、お兄様みたいに武術に優れてるみたい。
でもとっても優しいよ。
滅多に会わないんだけど、会うと僕の所まで走ってきて抱きついてきて何だか大きなワンコみたいで可愛い。
他の人と話してる時のユア様はちょっと怖い顔してて、違う人みたいだけど。不思議だよね。
王都の1番人気の通りにトランプカフェがあるんだ。
今日はユア様を案内するからスペード家の僕としては張り切っちゃうよ。
ユア様は侯爵家の後継だから護衛騎士が4人もついてくるけど、ちょっとカフェの中に全員は無理。
でもスペードカフェは貴族御用達だから、1人につき1名様の護衛スペースがついてて僕たちみたいにちびっ子でも心配ない様に出来てるの。
もちろんお父様が僕が利用できる様に考えてくれたんだよ。
馬車の中からなぜか繋いでた手を引っ張ってユア様をカフェへと案内する僕。
何と言っても、僕の方がお兄さんだからね。身体は負けてるけども…。
サラサラの黒髪の短髪でスモーキーグレーの様な瞳のユア様は、ちょっと怖めの顔も狼の様で野生的って女の子達が言ってた。
僕には怖い顔しないから、ワンコ一択だね。
ユア様が僕と繋いでる手をじっと見てるんだけど、痛いのかな?握るの強かったかしら?
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