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第34話 社交界デビューの爪痕

社交界デビューを無事に終えた僕は、すっかりのんびりモードに戻ってしまった。 まぁいつもの日常よ、こんにちはって感じ? 時々教えてもらう屋敷裏の鍛錬場での剣術の訓練も、今回はなぜか二人の若手の騎士達がやってきたので、僕はちょっと驚いた。 お父様が王宮へのお勤めに出る前に、いつもと違う騎士が指導に来るからと顰めっ面をしながら僕と執事長に話してたのは聞いてたんだけど。 でもお兄さん騎士達はとっても親切で、手取り足取り親切に教えてくれた。 準備運動の時に僕の後ろを走ってついてきた時は、何となく猛獣が追いかけてくる様な気分になって思わず本気で走ってしまった。ハハ。 二週間後の訓練の時はなんと三人もお兄さん騎士達が来てしまって、流石の僕も騎士団長のお父様に権力を使い過ぎってお説教してしまった。 お父様は怒ってる僕も可愛いなんて馬鹿な事を言いながら、圧力に負けちゃってと反省してた。 どうもお父様のせいじゃ無いみたい?僕にはよくわからないなぁ。 セブに聞いてもモゴモゴとはっきりしないし。ま、いいか。 久しぶりのお茶会には新顔のご令息達が5人も増えてて、名前を覚えるのが大変だった。 ユア様やいつメン令息ズは新顔令息達に怖い顔で笑顔の圧をかけてたけど、器用だなと僕は妙なところで感心しきりだった。 そんな僕にユア様達は勘弁してよってしょぼん顔だったけれど。 こっちおいで、撫でてあげるよ。ふふふ。 あれからお兄様はますます高等学院が忙しい様で、お屋敷にそれこそ一瞬顔を出すぐらいしか出来ないみたいだ。 毎回僕を抱きしめてはスーハーして渋々学院に戻って行く。 スーハーしてる時に、あのクソ王子とかアイツらがうるさいとかぶつぶつ呟いてるんだけど、ちょっとお兄様病んでるんだろうか。 ああ、僕が癒やしてあげたい。 そう思ってセブに、僕が考えた新作お菓子を学院のお兄様の所に差し入れしたいと相談したんだ。 セブが言うには、僕が学院に行くと多分大変なことになりそうだし、お兄様も僕に会えて嬉しいけれど反対にもっと大変になるから、もう少し時期を見ましょうとのことだった。 僕にはどうして大変になるのかさっぱりだけど、大人の事情らしいから諦めよう。 うん、僕も大人の事情ってのがあるのは理解してるよ、多分。 ちょっと困っているのが、キリウム王子が度々僕にちょっとしたプレゼントを贈ってくださる事。 お母様は王子様が僕を気に入ってくださったのねなんて、キラキラした笑顔で喜んでる。 でも僕はあまり話もしたことのないキリウム王子から何かプレゼントを貰ってもどうしていいかわからない。 しかも僕の悪戯で人魚がいると誤解させたことも後ろめたくて、ますます気が重くなるのだった。

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