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第36話

「どうする?」 まるで舌で舐めて転がすみたいに、龍大の指が乳首を弄る。ビリビリと電流が流れたみたいに腰に響く。 それに迫り上がる声を、手で塞いだ。 「尖って、固なって…」 そんな実況いらん!!ドクドクと、心臓が跳ね上がる。爪の先で軽く乳首を引っ掛けられて、コリコリと弄られ息が上がる。 気持ちええのんと声出せんツラさと、震える身体。フーフーと、指の隙間から荒い息が漏れる。 こんなとこ弄られながら、女みたいに喘ぐんだけは嫌!思ってたら、龍大が己の指を見せつけるみたいに舐めて、涎の滴るそれで尖って赤なった乳首をにゅるっと撫でた。 「ああっ…!!」 ビクビクッと身体が震えて、口を塞いでた手が外れた。あまりの気持ち良さに、自然と胸を突き出す。 「舐める?気持ちええ?」 意地の悪い顔。片眉を上げて聞いて来る。俺の答えなんか、分かってるくせに。 「威乃、ここ、舐める?」 二度目の問いに俺は頷いた。 ちゅうっと、子供がおかんの乳に吸い付くみたいにして吸い付いてくる。吸い付いたまま中では、舌先が乳首をコリコリ舐め回す。 「や、やだ、も、…やぁ」 龍大の頭を抱えたまま、不覚にもボロッと涙が溢れた。羞恥とか快感とか背徳感とか色々合わさって、ぎゅーってなった感じ。 でも龍大は止めることなく、乳首を甘噛みしてみたり吸ってみたり。そうしながら背中の肩甲骨から尾てい骨まで、ぐーっと強めに指が伝って。それが、そこに何かツボでもあるんかってくらいにたまらんくらい快感で、雄の先端の割れ目からプクリ。蜜が溢れた。 「あ、あ…龍大っ」 全部、身体全部が性器みたいな。そんなもん実際あったら、グロホラー。でも、それくらいにどこもかしこも性感帯。 ピチャッと濡れた音。ジュッと小さい小さい乳首吸われて、ひっと声が出る。 乳吸われながら、ペニスからどんどん蜜溢れさせて、ぞわぞわする腰を振る。 「りゅうっ、…ぁぁあ」 触って、扱いて、先っぽ、指の腹で擦って!言いそうになって、口を噤む。 いくらなんでも、それはないやろ?どっかで冷静な俺。 「威乃…触ってほしい?」 「…え?」 龍大の舌と歯と指で散々弄ばれた俺のそれは、真っ赤になって腫れ上がって俺自身が初めて見たってくらいに、尖ってた。 龍大に舐め回されて、てらてらに光るそれ。撓わに膨らんでもないし、揺れもせん。あの、手で掴んだときの弾力も柔らかさも、なーんもないそれ。やのに、龍大は美味しそうにそれを舐め回す。 「…ぅ…ぁあ…っん、あ」 それを見て、今までよりも濃く、多く、ドロリと蜜が零れた。 ふるふる震える俺のそれに、龍大の太さも長さも色も違うそれがコツンと当たる。龍大はそのまま、器用に腰を回して俺のペニスと自分のそれを絡めた。 「ああっ!!龍、大!!」 ぞくっと一気に来た。龍大のそれも濡れてるんが分かったからか、つるっと滑った互いのそれに、俺が辛抱堪らんようになる。 二つ合わして思いっきり擦ってほしい!!そんな、どうしょうもない欲望だけが頭を支配する。 「な、威乃」 はぁ…と、龍大が息を吐く。それさえ、俺には媚薬で。 「威乃、触って欲しい?」 言って、乳首に歯を立てて、俺のペニスに自分のんをコツンとまた当てた。 「っ…ああああ!!!」 ぎゅっと、龍大の肩を掴む。俺、もしかしてイッた?それくらいに、俺のんはぐちゃぐちゃ。頭もぐちゃぐちゃ。 龍大のペニスが熱くて、その熱が俺のんに当たる度に腰が逃げる。 「りゅ、…うぁぁ…さ、触って、触って、触って」 うわ言みたいに言いながら、天井を仰ぎ見て腰を振る。 このまんまでも出せそう。イケそう。でも、足らん。ちゃう、こうやない。 そう思いながら、はぁ…と息吐いて龍大のキスに答えた。舌絡まして、歯列舐めて。 「りゅう…」 訴えても、相変わらず指は乳首を弄ぶ。違う、そこちゃう。 そんな抗議の目を向けたつもりやけど、俺の目は今はとろんとして全然そんな抗議とか訴えれてないはず。 「威乃…どうやってして欲しいか、言うて」 「…は?」 一瞬、真顔。なった瞬間、乳首を抓られるみたいにされて、ひっと悲鳴が出た。 ってか、真顔になるわ。 「なに…」 「してほしいこと、言うて」 何、言ってんの?この人…。 「無理…」 「なら、このまんま」 龍大は不服そうに片眉を上げて、また乳首に吸い付く。 「ぁ…龍、大っ!」 このまま乳首への愛撫だけでイクとか勘弁!!何か、それは男として、いや、もう何かこうされてる時点で男としてとか無理やけど。 ちゃうっ!!何か、そこの壁だけは超えたらあかんっていうか、超えたないっていうか…。 「りゅう…!!」 パニックになる俺の顔を見て、龍大が乳首から顔を離す。真っ赤に染まったそこは、ピンッと尖った乳首が淫猥。 でも、元に戻るんかっていう不安も一つ。 「言うて、どうして欲しいか。言うたら、何でもしたる」 ぺろっと唇を舐められて、ぞくっとした。同時に、また、どろりと蜜が溢れる。 「威乃、舌、出して」 言われて、おずおずと舌を出すと、ちゅっと吸われる。吸われたまんま、軽く頭を前後されて、声が漏れた。 「ふ、ん、ううん、ん」 あー、絶対確信犯。意地悪。そうやって、口で舐められて扱かれて…。舌やないとこをそうされたい。思っただけで涙がじんわり。 出したい。思いだしたら男は止まらんわけで。扱いて、先端の割れ目から思いっきり、溜まりに溜まりまくった熱を思いっきり吐き出したいわけで。 「ふうん、…うう、りゅ」 呼べば、舌をちゅぱっと離された。舌先がじんじんする。溢れた涎を舐められて、きゅっと目を閉じる。 あー、なに、このエロさ。 「威乃」 諭されるみたいに呼ばれて、はぁ…と息を吐いた。 「…な、舐めて、触って…イかして」 「どこを?」 「え!!」 言わすんか!!と愕然。 精一杯の俺の努力、無視ですか?恥じらいかなぐり捨てた、俺へのご褒美がそれですか?まだ不十分ってことですか? どこをってそれくらいはいくらでも口にしたことある。学校でもどこでも、笑いながら冗談の中で。が、今は何もかも違う。男に、龍大に、ナニを舐めろと口で言えと? 「イヤ」 羞恥で真っ赤なる。 そんな、何を今さら乙女みたいなことをと思いつつ、そこは乙女なるやろ。まだ同性愛歴短い、生まれたての子鹿並。 一回ヤッてるから、ちょっと歩き出したバンビ?バンビにいきなり、天皇賞で走って来いくらいの無謀さ。 「威乃…」 「無理」 即答。ないない。それは無理。いくらアホの俺でも、それは無理。 「威乃の口から、全部聞きたい。俺がしたいだけやのうて、威乃もして欲しいって思ってるんを感じたい」 そう言って、龍大はちゅっと俺の頬にキスを落とす。そんなん言うん…ズルい。 「威乃?」 ん?ほら、言ってみ。みたいに首を傾げられ、あー、もうと唇が尖る。 何か諭されてるけど、ちゃうよね。こういう、これは譲られへんみたいなん。 ここは年下。子供みたいに意固地。そこは年上の俺が聞くべきか、折れるべきなんか…。 「…な、舐めて。お、俺の」 言って、ぎゅっと目ぇ瞑って龍大にしがみついた。声が震えた。 女にさえ、言った事ない。言わんでもするような女ばっかっていうのもある。無論、男には生まれて初めて。 でも、そういうのを全部差し置いて、ほんまに好きな人間にして欲しいこと言うって堪らん。それだけで、気持ちええ。 きっと俺が龍大の立場なら、もっと気持ちええ。してって言われるんは、ほんまに好きな人間にしてって言うて貰えるんは、めっちゃ気持ちええと思う。 「龍大、舐めて、いっぱい…して。ぐちゃぐちゃに、して」 言い出せば、言葉に酔う。されたのを想像して気持ちええから、どんどん言う。 言いながら、ぽとぽとペニスの先から涙が流れて。その感覚も、めっちゃ気持ちええ。全部、全部、気持ちええ。 「龍大」 耳元で熱っぽく呼べば、それに答えるみたいに龍大が堪らんとばかりに息吐いて俺を抱き締めた。 「…今のは、反則やろ」 ほら、気持ちええ。 龍大は自分の首に絡み付く俺の腕を解くと、そのままベッドに倒した。 俺は期待に震え、はぁ…と息を吐いた。

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