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第47話親友として

「えっ……。どうしてここに?」 「村長に頼まれた。お前の様子見てこいって。」 レイはぶっきらぼうに言い捨てると目を伏せてしまった。村長に頼まれたからと言ってあんなことがあったのに気にかけてくれるのはレイの優しい人柄だからだろう。 「そう……なんだ。あっ、僕は大丈夫だよ、元気にしてる。」 心配かけたくないと出来るだけの笑顔を作ったが、それに気付いたレイは伏せていた顔をあげ僕に怒鳴った。 「嘘つけ!そんな辛そうな笑顔なんかつくるなよ!」 「レ、レイ……ここ外だからっ!静かに……」 慌てて駆け寄りレイの腕を掴むと一瞬険しい表情をした後アリンの腕を振り払った。 「くそっ……とりあえず村長に頼まれたんだ。家まで送る。」 それから2人無言のまま家に向かった。途中何度かレイが振り返って何か言いたそうにしていたけれど目線が合うたび眉間に皺を寄せて目をそらすからそれ以上は踏み込む事が出来なかった。 「ここでいいよ、レイありがとうね。」 家の近くになりレイにそう告げるとレイは気まずそうに俺を見た後話し出した。 「あいつ……フェアンが帰ったって聞いた。」 「あ、うん……。そうなんだ!迎えが来て……」 「……ちょっと話、したいんだけど……。家寄ってくのダメか?」 「えっ……」 「絶対!絶対お前が嫌がることはしない。触らないし距離を取るから……ただお前が心配なんだよ。」 なぜかレイが今にも泣き出しそうで放っておけなくて家に入ってもらうことにした。レイは本当にアリンの座るソファから対角線に座り近づこうとはしなかった。 「アリン、お前それでいいのかよ。」 しばらくの沈黙の後、唐突にレイが話し出した。 「その指輪、あいつから貰ったんだろ?迎えが来たからってすぐ帰してよかったのかよ。……なんだお前の好きって想いもその程度か。」 「違う!!」 アリンは思わず2人の間にあるテーブルを思いきり両手で叩き顔を真っ赤にして怒鳴った。 「帰したかったわけじゃない!!僕はっ……僕はっ…フェアンの事を……!」 声を荒げて泣き叫ぶようにしてレイに話していたがだんだんヒートアップして息が出来なくなってきたアリンをレイは抱え込むようにして背中を摩った。 「ごめん、ごめんアリン。これは非常事態だから許してくれ。なぁアリン。俺に出来ることはないか?お前が苦しんでる姿は見たくないんだよ。」 レイはヒューヒューと苦しそうに息をするアリンをひたすら摩り続けた。 「その指輪も、髪紐も……。手放せないのはまだ好きだからなんだろ?」 無言でコクコクと必死に頷くとアリンの頭上に「わかった」と温かくて優しい声が降ってきた。 「俺はお前が幸せになるならなんだってするから。一緒に考えよう。」 その優しい声に身を委ねると瞬く間にアリンは夢の世界へと旅立ってしまった。それはフェアンが居なくなってから初めての安眠だった。

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