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第195話

「なんで体育館行ったの?俺と2人だけになりたいって言ってくれたじゃん。」 教室に戻ると光生は頬杖をついてふてくされていた。午後の授業は無くてこんな時に限って学校の草抜きをするらしく外に出ればまた光生と2人きりになってしまった。 「だっていつも呼び出されたら行ってたのに、、あの女の子かわいそうだったから、、」 告白をされても相手が傷つかないようにやんわり断っていることを知っている。それにそんなことがあっても俺に言わない優しさも痛いほどわかってる。 「かわいそうなのは俺のほうでしょ。久しぶりに涼とご飯食べれてたのに。」 「俺とはいつでも食べられるでしょ!」 ていうかなんで光生が怒るんだ。俺だって誕生日を教えてくれなかったことを怒っているのに。 「いつでも食べれてないじゃん。今日も星くんのとこに行ったし。この前からずっと星くん星くんって言ってるの自分で気づいてないの?」 「今、星くんの話全然関係ないじゃん!」 だんだん言い合いになってきた俺たちはお互いに睨みあっている。 「関係あるでしょ。涼は俺と付き合ってんのに。」 それのどこが星くんに関係があるんだ。だいたいなんでいつも星くんのことをライバル視しているのか全くわからない。 「光生だって、、」 もういっぱいいっぱいでなんだかいろいろとむかついてきて、つい言いかけた言葉を途中で止める。 「俺がなに?」 最上級にムッとした顔で光生は見てくるから我慢していた気持ちは一気に爆発する。 「っ!!光生だって誕生日教えてくれなかったじゃん!!俺と付き合ってるのにっ!!」 「……え?」 きょとんとする光生にさらにむかついてくる。 「昨日も今日の朝も一緒に過ごしたのに、、教えてくれなかったのひどいじゃんっ、、!!付き合ってるんだから1番にお祝いしたかったっ!!」 目の前で女の子に呼び出されていたことにモヤモヤしていた俺はさらに今日が誕生日だったことを教えてくれなかったから不満が募るばかりだ。 本当は光生が自分から誕生日を言うわけないことなんてわかっている。でも行き場のない気持ちをどうすればいいのか自分でもわからない。 「え?言ったらお祝いしてくれたの?てかなんで俺の誕生日知ってんの?」 そんなの当たり前なのに光生は自分のことになると全く興味がない。きっと自分の誕生日も光生からすれば普通の1日なんだと思う。 「さっき夢ちゃんから聞いたの!!もっと早く知ってたら昨日だって寝ないでお祝いできたのに、、」 夢ちゃんが教えてくれなかったら今日だって知らないまま過ごしていたに違いない。 「俺だって今日の朝に一瞬思い出しただけだし昨日は本当に忘れてたんだって。」 自分の誕生日を忘れるなんて光生はどれだけアホなんだ。 「それに俺は涼と一緒にいられたらそれでいいの。大好きなパンも食べられたし十分だよ。」 たったそれだけのことで十分なわけがない。一緒にいてパンを食べるなんてそんなこといつだってできる。それにパンなんてほとんど俺が食べてしまった。 「俺はそれだけじゃ嫌なの!!」 持っていた草を地面に投げつけ俺は1人で教室に戻った。光生のことが大好きだから怒っているのにこの気持ちを上手に伝えられない自分にさえ、むかついてくる。

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