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第198話 星くんside

さくらちゃんの手を離すとごめんねと悲しそうに謝る姿にどうすることもできなくて自分の教室へと帰った。 「なんでこんなことになったんだろ。」 たまたま教室を通りかかった時、お昼休みの時と同じように浮かない顔をしているさくらちゃんがいた。きっとまた椎名くんのことで悩んでいてそれがすごく嫌だった。いつだってさくらちゃんの頭の中は椎名くんのことだけだ。 「好きだなんて一生言わないつもりだったのに、、」 好きだと言ったところで振られることなんてわかっていてそれなら今の関係のままがよかったはずなのに気づいたときには伝えていた。 抱きしめていると足音が聞こえてきてドアを見れば椎名くんと目が合う。さくらちゃんは椎名くんがいることに気づいていなかった。 優しいさくらちゃんを利用して好きか聞く俺は最低だ。そうわかっていても椎名くんに少しでも勝ちたくてしょうがなかった。 「さくらちゃんの体、ずっと震えてた。」 そんなの当たり前だ。友達と思っていた人にキスまでされてしかも恋人の椎名くんに見られたんだから。 椎名くんを追いかけようとしたところを止めた時のさくらちゃんは悲しそうで、あぁ、もう前みたいな関係には戻れないんだなと思った。 星くんだ!って俺を見かけるたびにいつも嬉しそうに名前を呼んで声をかけてくれるさくらちゃんをもう見れないことがすごく寂しい。全部自業自得なのに自分勝手なところに笑えてくる。 「さくらちゃん今ごろ泣いてるよな、、」 ただゲームの話で盛り上がってたまに一緒にバスケをすればキラキラした顔で褒めてくれて全部に一生懸命なさくらちゃんを見ていたかっただけだ。それなのにもう後悔しても遅くてきっと今この瞬間に俺とさくらちゃんの関係は終わった。  

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