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第246話
「うぅ、、また雷鳴ってる、、」
雨と雷の音で起きた俺は寝ている光生にくっつくように毛布の中に潜り込む。学校が休みになるだけあって天気は最悪に悪い。もう高校生になったっていうのに雷が苦手なんて変なのはわかってる。それでも苦手なものは苦手だ。
「光生のこと起こさないようにしなきゃ、、」
寝ている光生の服に顔を当て深呼吸をする。必死に心を落ち着かせていればさっきよりも大きな音で雷が鳴る。
「っ!………こうぅ……」
毛布に潜り込んでいた俺は思わずそのまま光生の体の上に抱きつくように乗っかってしまう。
「ん、、涼おはよ。もう起きたの?」
ギュッと抱きしめてくれる光生は俺が突然起こしても一切怒らない。そんな空気に恥ずかしくなって何も返事ができない。
「雷大きい音鳴ったもんね。起きちゃうよね。」
光生はどこまでも俺に甘すぎる。時計をチラッと見ればまだ朝の4時で起こしたことを申し訳なくなる。
「光生……」
「ふふっ、これあったかいね。涼が上に乗ってると落ち着く。」
謝ろうとして名前を呼んだことに気づいたのか、また俺に気を遣わせないように光生はさりげなく話題を変えてくれる。きっと眠たいのにそんなことを一言も言わないし光生はいくらなんでも優しすぎる。
「……ごめんずっと乗ってた、、重かったよね、、」
なんでこんなにも俺に優しくしてくれるのかわからない。パッとその場を降りれば今度は光生が俺の体の上に乗ってくる。
「涼抱っこして。」
そう言って抱きついてくる光生は首元に顔を当ててそのままちゅうっと強く吸ってくる。
「ふふっ、制服着てても見えるところにキスマーク付けちゃった。」
寝起きの光生は体温も高く声も少し掠れていて刺激が強い。それに強引なところに不安だった心は安心していく。
「…光生…もっといっぱいつけて……」
でもこれだけでは足りない。もっと光生で埋め尽くして欲しい。ニコッと優しく笑った光生は鎖骨に何個もキスマークをつけたあとスウェットをめくってくる。
「寒かったら言って。」
そう言ってまたいっぱいキスマークをつけてくれる光生に甘えたくてしょうがない。
「光生、、寒くなってきちゃった、、」
本当は全然寒くない。それでも試しに言ってみると光生はすぐに俺のスウェットを戻す。終わってしまうくらいなら言わなければよかったと後悔していれば光生は自分が着ていたスウェットを脱ぎ俺に着させてくれる。
「ごめんね。寒かったね。」
心配そうに体をスリスリと何度も擦る光生はこんなことまでしてくれるらしい。俺が想像している遥か上をいく優しさに嘘をついたことを後悔する。スウェットからは俺の大好きな匂いがするし目の前には上半身裸の光生がいて引き締まっている割れた腹筋にそっと手を伸ばせば嬉しそうに笑う。
「これじゃ光生が寒くなっちゃう、、」
「ふふっ、俺は涼に温めてもらうからいいの。」
そう言って何枚も毛布を俺にかけた光生は潜り込んでくるとギュッと抱き枕のようにしがみついてくる。
「この時間って静かでいいよね。俺たまに朝早く起きてボーッとするんだけどその時間が大好きなの。」
そんなことを教えてくれる光生はずっと頭を撫でてくれている。
「涼は?なんの時間が好き?」
抱きしめられているから光生の顔は見えない。それでも優しい顔をしてくれているのがわかる。胸が苦しいくらいにそれが伝わってきてうまく言葉が出ない。
「あ、わかった。お風呂入ってる時間でしょ?」
やっぱり光生は自分がどれだけ優しいか気づいていない。きっと光生からすればこれが普通なんだろうけど俺にとってはどれも特別でひとつひとつにドキドキしてしまう。
「光生大好き……」
「ふふっ、急にどうしたの。」
体を離し顔を見てくる光生はやっぱり優しい顔をしていた。
「……俺、今みたいに光生にくっついて一緒にいる時間が1番好き……大好き…」
なぜだか目に涙が溜まってくる。きっと光生から愛されてるのがすごく伝わってくるからだと思う。こんな俺のことを光生はすごく大事にしてくれる。
「俺も。涼との時間が1番大切で1番大好き。」
「んっ……光生……」
気づいた時には光生にキスをされていた。そのまま服の中に手を入れてくる光生は背中を撫でるとすぐにパッと手を離す。
「危ない。止まらないところだった。」
フッと笑う光生はベットの横にある照明をつけ部屋は暖かいオレンジ色に照らされる。
「はぁ、早く涼と2人きりになりたい。」
大きなため息をつく光生はきっといろいろと我慢してくれている。そんなところがかわいくて大好きだ。
「ん、今度いっぱいしようね、、」
そろそろ服を返さないと光生が風邪を引いてしまう。起き上がり横に寝転ぶ光生に跨れば睨まれてしまった。
「そんなこと言いながらする体勢じゃないでしょ。」
これは決して誘っているわけではない。光生に服を着させたくてこの体勢になってしまっただけだ。スウェットを2枚同時に脱ぐと光生はすこし余裕の無さそうに微笑む。
「本当に触りたい。だめ?」
そう言って手を伸ばしてくる光生の指を掴み軽く噛む。
「だめっ!!」
「じゃあ目の前で脱がないでよ。しかも俺に跨って脱ぐなんて煽ってるようにしか見えない。」
文句を言っている光生を無視し俺が着ていた方のスウェットを着させる。
「光生にはちょっと小さいかな、、」
まあいいか。寝るだけだし。なんだか急に眠たくなってきた。
「光生のは俺が着たいから交換ね!」
「……絶対わざと俺のこと試してるでしょ。」
なにか小さい声で言っている光生にそのまま倒れ込む。
「光生、、また眠くなってきちゃった、、」
二度寝をしようとそのまま目を閉じればどんどん眠気が押し寄せてくる。
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