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第1話

 小麦色の臀部が、開け放たれたドアから差し込む光に照らされ、瑞々しい輝きを放っている。  そんな趣味がなくとも、思わず触れてしまいたくなるような光沢。しかし、それとは全く不釣り合いなもの――和太鼓のバチが、その真ん中に突き立てられていた。  肌とは別の色、ピンク色にぬらめく粘膜が、悲鳴をあげんばかりに押し広げられている。 「ほら、センセ。こいつガチのゲイだからよ、ダチがいなくて寂しいんだって。だからオレたちが一緒に遊んでやってんだよ。それの何が悪いんだ?」  瀬藤コウマがにやけた顔を私に向けている。そして、哀れなる生贄の羊――神奈レーシのお尻の穴に半分ほどめり込んでいる太く固い棒をゆっくりとねじるように回した。 「く、んあぁ」  レーシが身をよじりながら、苦痛とも喘ぎともつかぬような熱い声を小さく漏らす。切なそうに眉をひそめるのは、痛みゆえか、それとも痛みを耐えたものだけが得られる快感ゆえか。 「レーシはこうされて喜んでるんだよ。いじめなんて言い掛かり、つけないでくれ」  校内で日常的に『いじめ』を受けています。その証拠を見せるから、一人で来てください――生徒からであろう匿名の手紙をもらい、訪れた体育準備室。  その行為が、今まさに私の目の前で行われている。しかし、加害者であるコウマ、そして後三人の生徒には悪びれた様子はない。 「喜んでいる? 私にはそうは見えないが」 「ほらよ」  コウマがレーシの長い髪を乱暴につかみ、レーシを立たせる。そして私の方へと向かせた。  金髪に小麦色の肌。母親がラテン系だというレーシは、そのイメージとは反対におとなしい男の子だった。少し彫の深い顔は、エキゾチックにして美しさと麗しさをたたえている。  制服のシャツはそのままに、ズボンと下着だけが脱がされていて、下半身がむき出しになっていた。  小さいペニスが先端をおおう包皮を突き破りそうなほどに目一杯勃起していて、それが生き物のようにビクンと震えると、その頂きに開く穴から粘り気の強い透明な液体があふれ出す。  それが糸を引いて、下へと落ちていった。 「興奮してびんびんなんだよな、レーシ。それによ、大好きなセンセに、お前の変態チンポ見て貰えるんだから、尚更だよなあ!」  再びコウマがレーシの秘部に突き刺さった棒をねじる。しかし今度はゆっくりではない。力を込めて、粘膜をかき回すように、右へ、左へとねじっていく。その動きに反応するように、開かれたレーシの口から、意味をなさない音が漏れだした。 「あ、あう、あうあうあう」  レーシの膝がガクガクと震え、崩れ落ちそうになる。横に控えていた生徒、カナブとリクヤが、すぐさま、レーシの両脇を抱えた。 「セ、センセイ、見ないで」  甲高くも少しかすれた声が、レーシの口から搾り出る。汗で濡れた前髪が額に張り付いていて、その合間から覗く瞳が私を見つめているが、その色は一見、懇願に潤んでいるようだ。しかし、私の視線がどうしようもないほどに固くなったレーシの男根へと注がれると、レーシの瞳に歓喜にも似たものがはっきりと現れた。 「いい加減、止めないか」  コウマに対し声を荒げてみるが、無意味だったようだ。返ってきたのは生徒たちの嘲りと、そしてレーシの喘ぎ声だった。 「あんたセンセなんだろ。止めたきゃ、オレたちを止めてみなよ。指一本でも触れたら、体罰教師として学校に訴えてやるけどなあ」  コウマがにやけた顔でそう言い放つ。また笑い声が部屋の中に響いた。 「センセイ、僕のことは、ひ、ひぎぃっ」  レーシが何かを言おうとしたが、しかし臀部に加えられた刺激のために、その声が悲鳴へと変わる。 「せっかくだから、射精すところも見てもらえよ」  コウマがレーシの耳元でささやく。それを合図に、レーシの両脇を抱えていた二人が同時に、レーシの乳首を指でつまみ、ねじり始めた。 「あ、あ、ああああ」  苦痛と快感の狭間を泳ぐように、レーシの目がせわしなく動く。コウマが握る太い棒の動きは、もはや加減もないピストン運動へと変わっていた。 「あぁは、あぁは、あぁは」  悲鳴の代わりに、レーシの喘ぎ声が部屋中に響き渡る。瞳には涙がこぼれ落ちんばかりに溜まっているが、その表情は持て余すほどの快感に溺れる恍惚としたものだった。 「センセがお前の恥ずかしい姿を見てるぜ。嬉しいんだろ、この変態やろうが」  レーシのお尻に突き立てた固い棒を動かしながら、コウマがレーシの長い髪を掴む。そしてレーシの顔を無理矢理私の方へと向けた。 「見ないで、センセイ、見ないで」  レーシがまた私に懇願する。しかしその声には隠し切れないほどに、湿り気と艶を含んでいた。 「いやだ、やだっ」  レーシが目を見開いた。その目が私をとらえてはなさない。だらしなく開け放たれた口の端から、さらっとした唾液がしたたり落ちていく。  コウマたちの卑下た笑い声の中、レーシが体を弓のように反らせた。 「セ、センセイ……」  一歩前に出れば、手が届きそうな距離。しかし私は動くことができない。  しかしそれは、レーシを助けることが私をこの学校から追いやることになるから……ではない。その姿があまりにも妖艶で、私を束縛しているのだ。  そしてそれ以上に、レーシ自身、それを望んではいないように見えた。  眉を中央に寄せ、潤んだ目が悩ましげに私を見る。  懇願、哀願、救いを求める目が、やがて諦めに変わると、レーシは目を閉じ、そして顔を上げた。 「く、んあぁ」  断末魔の叫びにも似た声。その瞬間、私の頬に、服に、生暖かい粘液が飛んだ。 「あっ、あっ、あっ」  何の刺激も与えられていないはずなのに、その後も、レーシのペニスの先端から何度も何度も、熱くたぎった白濁が、あふれ飛び、床を濡らす。  レーシの膝はガクガクと震え、もう立っていられなくなっていた。両脇を持っていた二人が手を離すと、レーシは崩れ落ちるように床へと倒れこんだ。コウマがレーシのお尻に突き刺さっていた棒を乱暴に引き抜く。 「あーあ、床だけじゃなく、センセまで汚してしまってよ、全く」  コウマの声に、再び部屋の中が笑いに包まれた。それが、私の全身を縛っていた束縛を解き放つ。  私は慌てて、レーシの傍にかがみこんだ。 「大丈夫か」  レーシが僅かに顔を上げる。床を濡らした白濁が埃とともにレーシの髪や顔を汚している。 「じゃあセンセ、後、よろしく。レーシ、また遊ぼうぜ」  コウマはそう言うと、他の生徒を引き連れ、体育準備室から出て行った。 「センセイ」 「すまない、私は」  レーシの上半身を起こし、抱きかかえる。レーシが私の顔を見つめ、そして申し訳なさそうな顔をした。 「ごめんなさい、顔、汚しちゃった」 「こんな状態で何を言ってるんだ。立てるか」  レーシが私の首に腕を回す。そして顔を近づけると、私の頬に口をつけた。 「お、おい」 「きれいに、しなくちゃ」  柔らかい舌が頬をぬぐい、私の顔についた体液をなめ取っていく。私はそれを止めることができなかった。  彼の舌が、頬から口元へと這いずっていく。 「センセ……」  熱い吐息。潤んだ瞳。 「好きです……」  脳を震わせるような声。そのまま私は抵抗することなく、レーシの舌を自分の口の中へと受け入れた。 <了>

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