1 / 8
第1話 違和感
俺――安田永喜 と、弘重万葉 の関係を思い返す度に、どこかで何かを間違えているんじゃないか、っていう気持ちになる。
好きなんだ。
お互いに大事だと思っている。
それは間違いない。
小学生の頃に出会った。
運命の出会いだなんてクサいことを言うつもりはない。
普通に出会って、なんとなく一緒にいて、進学を機に別々の道に進んで会わなくなって。
大学卒業間際に再会した。
俺はそのまま実家の仕事を生業にして、万葉は悩みに悩んでいたけど自分の道を見つけて進んだ。
俺とは違う、地道に自分の道を見つめるその姿に惚れた。
男同士でさあ。
世の中の動きはどうであれ、実際の生活の中では、惚れた腫れただけで進める恋路じゃない。
それでも、選んだ。
お互いに。
今でも大事で惚れてる。
むこうも、そう思ってくれているはず。
はずなんだけど、このままじゃいけないとも感じる。
だから何とかしたいと思うのに、どこをどうすればいいのかが分からない。
はっきりとはわからない、そんな小さな違和感。
ともだちにシェアしよう!