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第27話 向き合う
「今日は、月曜日……ん?もう火曜日か。数時間後には会社だよな、寝ないとまた何かやらかしそうだ」
俺の言葉に奏太がくすっと笑った。
「うん、知ってる。俺もそう思うよ」
そう思うと言いつつも、奏太の呼吸は速くなり体温は既に上昇し始めている。それは俺も同じで……。
「俺……帰った方が良いよ…な」
奏太は帰った方が良いよなと言いながら離れようとはしない。
俺も奏太の手を振り払えない。
お互いがお互いの体温に安心して動くこともできない。
「か……える…かな」
奏太がそっと離れた。その瞬間に冷たい空気がすっと間に入ってきて、慌てて離れた奏太の身体を引き寄せた。
「奏太、帰るのか?」
「うん、本当は帰りたく無いんだけどね。勢いでこのままベッドに誘いたいところだけれど……」
ゆっくりと奏太が離れる。
「ん……また…」
「後で」
奏太は俺の「後で」と言う台詞ににっと笑うと部屋を出て言った。
何を約束するわけでもない。
そもそも会社で偶然会うことはほとんどない。それでも「また」と言う奏太の台詞に安心する。
ベッドに横になると何故か穏やかな気持ちになっていた。アルコールで無理矢理眠るより心地よく眠れそうだ。
不安定で不確かな関係。まだ埋めていかなきゃならない溝は多くある。
それより奏太が望んでいる関係は何なんだろう、友達……。
友達は抱き合ったりするのか?抱擁することはあってもセックスはしないのか……。
考えの隙間に睡魔が寄ってきたようで、ふとした瞬間に眠りに落ちた。
いい夢を見られそうだと思っていたのに、黒い霧に追われて苦しみながらもがく夢を見た。
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