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第1話 何気ないはずの出会い
太陽の光さえぬるまったるく感じる倦厭 的で冗長な午後だった。
やんなる。
学校をダルくなって早退けした俺は、早々に自分んち、都内にある高層マンションの6階の自分の家、へと、帰ってきていた。
此処には、親子3人で住んでいる。
一等地にあるようなこんなマンションに住めるのも、父親の職業なんかが、とある有名企業の幹部をしてるからで、ヤツはいつも余り家には寄り付かない男だった。
母親は有閑を持て余している気まま主婦。
流行りの美魔女っぽい外見を維持するために、毎日エステだ手習いだ、とスケジュールを埋めては日々慌ただしく過ごしている女性だ。
それでも料理は呆れるほど毎日豪勢にズラァと並べてくれるのが助かる。
ロビーの石作りの床は歩く度硬質音が鳴り、センサーか何かで自動反応し開閉するエレベーターに乗り込んで、ボタンをめんどくさげに叩きつけるように押し上階まで上がると、自分の家のドアが真正面に覗ける目的階のフロアに辿り着いた。
このフロアには2部屋しかない。それくらい、間取りが広々としているのだ。
玄関に入ると、見知らぬ靴があるのに気付いた。
男性物、学生靴、の皮の靴。
俺の靴よりサイズは大きそうで、無論父さんのサイズでも無い。
「誰だよー」
小さく呟くと、奥から母親が、慌てたように声を大きく出して俺に投げかけてきた。
「帰ってたの!?お、おかえり、ちょっとお待ちなさいね!今、そっちいくから」
「いいよ別に来なくて」どうせ自分の部屋に即戻るだけだっつの。
「あ!ちょっと……!まさやくん……!」
更に母親のテンパるような声と同時に、奥の部屋から一人の学生服の男がひょいと顔を出し、玄関に立って靴を脱ごうとするこちらに向かってスタスタと歩いてきた。
どこの学校の学生服かは分からなかった。
俺と同じ、制服が丁度、冬仕様になりかけている。
「…………どなた?」
首を引っ込めながら引いたように怪訝な顔をして聞くと、そいつは
「一之宮 正夜 。だよ。よろしくねー」
とヒラヒラ手をはためかせ名乗った。
何か妙に言い方が軽い?っつうか、馴れ馴れしさを感じる態度な気がする。
190は越すだろうか。170ちょいの俺より上背の高い男は、かといってガッシリしているわけでもなく、手首や首の筋は折れそうなくらいなめらかな線を持つ男だった。
顔は色白く、唇はやや厚めで、目はまぶたの窪んだ二重で長く、ちょっと三白眼気味の目力が有る様子で睫毛も長く、眉毛は狐を描いたように釣り上がり、綺麗な顔をしていた。
輪郭は長く青年的な顔つきだが、男臭さが香ってこない顔つきだ。襟足がやや長めのショートヘアで、背丈はあるのに全体的になんだか中性的な印象がした。
「宇藤 朔 君でしょ?お母さんから聞いてる」
そう言って人差し指を背後にのけぞらせ、一之宮正夜は自分の後ろにある、奥の母親がいる筈の部屋をツンツンと指し示した。
……何かプチプチ失礼な動作や言い方をこちらに使うような気もするが、ま、あんま気にしない。気にするほど大した関心もなく。
俺達ぐらいのお年頃男子高校生にはよくある無礼さだもの。
「僕、お母さんの友達なんだよね。今日訳あって、君ん家に一泊させて貰うんだ、朔君」
そう言って正夜は耳にあたる自分の黒い髪の毛をかきあげ、意味ありげに、こちらを見て微笑んだ。
動く口角のわりには、その眼差しは全然細まっておらず、何だかちょっと怖いようにすら感じる視線だった。
「あー?そうなんだ、そうなんだー。母さんにこんな若い友達がいたとはねー」
「せっかくだから君ともっと話をしてみたいなぁ、僕は」
「んー?いいよー。じゃあ制服から着替えて来るから、呼んだら俺ん部屋来いよ」
正夜にサクサク返事して自室に向かった。
それから正夜と2人きり、自分の部屋で、何時間、どれくらい話したろうか。
たわいない御互いの学校の話、友達の話、学校の女子生徒の話、教師への小さな文句、勉強への愚痴、どれも取り止めがない共通話題を、同じ学生の身分同士分かち合えた。「電話番号とか、メルアド交換しようよ」と正夜が言い、難なく応じるくらいには、語り合いが盛り上がれた。
気付いたら途中母親に呼ばれてダイニングへ向かわされ夕飯時間と相成り、その後二人それぞれ風呂に入ることになり、正夜は俺の部屋に寝る次第になった。
パジャマは体格が合いそうにないので、多少伸びても平気なTシャツとスウェット下を借してやって、共に気の緩める格好同士になる。
「ありがとう」
「正夜は、他人ん家で眠れるほうなんだ?」
「朔は眠れない人?」
「余裕で寝れる!」
「へぇ……安心した」
電気を一斉に全て消していきなり真っ暗な部屋に、ベッドに寝る俺と、ベッド下の布団に寝る正夜の二人寝。
暖房は付けといてやる。快適な室温の中で。
ずっと喋ってたのが楽しかったのか、思ったよりすぐに眠気が襲ってきた。
久しぶりに、たくさん、話していたから………
◇◇◼️◇◇
「ん………ん…………」
(気づいたかな?まだ、起きるなよ……)
僕は朔の腕をベッドサイドのパイプに繋げて紐でくくりつけた。
寝ている朔の、上に掛けてあるタオルケットと毛布を引き剥がし、壁の脇にやると、朔のパジャマのボタンを手早く脱がして、ズボンも下着ごと取り去り、彼の脚腰を外気の中に露にした。
彼の乳首にニップル・クリップをゆっくり、目覚める程の違和感がないように時間をかけて慎重に挟み込み、両乳首に飾りを付けてやる。
両方飾れたら試しに乳首をペロリと一舐めしてみたが、無反応、起きる気配は全然無いようだ。良かった。
時間との勝負っぽいし、僕は朔の曝け出された局部の谷底を集中し弄るために、予め準備していた潤滑クリームの蓋を片手のみでズラすと、惜しみなく内容物を朔のアナルに塗りつけていった。
中指でグリン、グリンと、腸の中を回しながら揉み込んで塗る。
アナルは僕の指に反応してギュッと締め付けて来る。
意識がないのに肉体は異物侵入をちゃんとわかっている。
一通り塗りすぎなくらいビッシリ塗りたくると、僕は自分の履いているものも全て脱ぎ捨て、自分のペニスにもクリームを塗りたくり、朔の中に挿入した。
一回強い抵抗があり、挿入が止められたが、結構力任せに挿入してやると、クリームの助けが働いて、ペニスは朔の中へと思うように全部が入った。
そのまま腰を動かし行為に及ぶと、快感が二人の繋がりから疑いなく素直に生まれて、余計なことを気にせずに、この純粋なる反復動作の中へとのめり込んでしまう。
「朔……スゴい気持ちいいね」
僕はなるたけ静かに囁いた。
朔は、寝ている。
嘘だろ、これだけ動いているのに、無反応で寝れるものなのか、人って。何だかちょっと可笑しい。
この家は広い。母親の寝てる部屋はリビングやダイニングを飛び越した遥か向こう側にあり、多少の音なら届かない筈だ。
僕はリズミカルに小気味良い音がなるよう、朔のアナルを調子良く小突いてみることにした。
◇◇◼️◇◇
なんだろう、なんだこれ……
下腹からエイリアンが今にも生まれる!という映像を見て、俺の意識は段々夢の淵から覚醒に向き合い始めてしまった。
お腹の皮膚が急に粘土みたいに蠢く夢だ。
何かが突き破って出てくる瞬間、急に感覚が現実世界へと着地し始め、名残を残し夢から戻りつつある。
体が
熱い
そして痛い………。
グチョグチョしている………。下の……下の感触が何か………なんだ。ぬかるみが、自分の下に出来ている………。
真っ暗闇の自分の部屋。数秒で目が慣れて来ると、男が自分の体の上に乗って俺を揺すっているんだと、すぐ気がついてしまった。
「え……何これ………何これェ……!正夜……オイっ!」
「なんだ、起きちゃった?」
軽く笑っているのが頭上で聞こえる。
信じられない。俺の腕が俺の頭の上に縛られている。
ほぼ服は脱がされているようなひどくみっともない状態で、情けなく足を大股に開かされ、男にのしかかられている。
蹴倒そうとしても正夜が完全にポイント抑え、動きを押さえ込んでいる。
こいつ細そうに見えて力が強い。詐欺だ。
「正夜……っ!!何これ!あああ!……ああっ!」
エグってくる。硬く、質量のあるものが、深く、突き刺して、中を、上下してくる。
俺の尻と尻の間を押し広げて、腸の壁を何度も擦り上げてくる。……自分ので。
目が見開く。擦り切れているような、皮膚と筋肉をめくられ、引っ張られる痛覚。
「熱っ!!熱い!!痛い!!正夜、やめっ!!やめろォ!まさ、お……いっ」
なんだか胸の、乳首の部分も、じーんと痛みが、ある。
なんだ!?もー、わけわかん……ないよ……!
「おい、ちん…こイジるな!!おっ……い!」
あらぬ所にも正夜の手が伸ばされてきた。
「一回イッとこ、朔。元気だとめんどくさいからねー」
そういって激しいが上手い手つきで、俺のちんこを擦ってきた。
「あっ!あっ!あっあっ!!!早っ!!!あーっ!はやっい!手」
「いいよ。イッちゃえ、イッちゃえ」
あまりに早い手の動きに、すぐに出てしまった。腸からちんこを押されているからか?堪えられない。
非情にも正夜は、それから、思い切りあらんかぎりの精を出してしまいへこたれる俺のちんこを掴み、ミニベルトのようなものを使って根本を縛り上げたのだ。
◇◇◼️◇◇
「……………ね?段っ々気持ちいいね、朔」
呼びかけてやるも、朔の目は虚ろになっておりちっとも答えない。
ペニスの先と裏筋にはローターもテープで2個、貼りつけてやった。
あれから2回、朔の中で僕はイッた。
「ゴメンね、僕、何回でもヤれる人なんだよ、体質」
そう言って朔の頬にチュとキスを落とす。
「今日は朝まで、ヤったろーじゃん。て、気持ち」
腰をグラインドするように大きく動かし、朔の腸をかきまぜると、連動して水分を失い乾いた唇がうっと呻いた。
動けば動くほど、朔のそこは張り詰めて痛々しいくらいに反り返るようになっている。
「…………も……」
掠れた声。
「も………出させてぇ………出させて……ぇ……く……痛い、コレ………お願い……」
根本を縛るベルトは鬱血したように腫れている。
前立腺だけを狙って的確に腰を打つ。
朔の体は規則的に突かれる度に電流が走ったようにビリビリはじける。
やっとニップルクリップを取ってやると、限界を訴えている、刺激に慣れていないウブな乳首を、暖かさを感じるように舌で舐め上げた。
吸い付くと散々挟まれた乳首は痛く感じるだろう。
舌であくまで覆うように、口中の暖かさで癒すように含むと、朔の顔色に確かに気持ちよさが浮かんでいるのがわかる。
3回目の射精をした。
ずると引き抜くと、丸く穴が掘られていて、朔はやっと解放されたように目から力が抜け、息をつく。
だがしばらく一休憩するだけで、ローターで縛ったペニスをしばらくいじくり、焦らし遊んであげた。
夜が明ける頃には、既に射精は何回目だろうか。
朔は既に半ベソ状態で我を失っており、やっと縛られた腕を解いてやっても既に抵抗なんかせず、必死に僕の背中にしがみついてきて
「もぅイかしてぇ!正夜!うっうっ!イカして!正夜」
となりふり構わず泣きついてきた。
「いいよ、お尻掘られてイッちゃいなさい」
とやっと僕は朔のペニスベルトを取り外す。
「似てるね、朔のイキそうな顔。君のお母さんがイク時の顔とソックリ。
似てないようで、やっぱ親子だねー。
君のお母さんにも挿れたばっかりなんだけど」
と、彼の鼻先をツンツンと触り、のんびりとしたほのぼの口調で、朔の頬を撫でながらわざと言う。
朔の目が愕然とした。
「うっ……うっそ……母さんと……?え…うっ……そ……」
朔が呆然とする間も尚一層激しく燃え盛るように突き上げる。
「う、うそ……うっ!!うっ!!!うう!うああああぁぁ!!いくっ!!うああああぁぁっ!!!」
泣きながら精を放った朔はそのまま気絶した。
「………ふぅ」
僕はスマホのカメラを取り出す。
作業が終わるとわざとベッドの上には精液を拭ったティシュがいくつも放り投げられたまま、
彼には服も着せずに裸体のままで、性行為の痕跡をいくつも残す状態のままにして、朔の家から立ち去ることにした。
◇◇◼️◇◇
目覚めると愕然とした。
目を覆いたくなる惨状。身体はあちこちベタついている。クシャクシャしているベッドの上には……。
「ど、どうしよう…………」
母親はまだ寝ている。
俺はシーツやブランケットタオルケットの類を慌ててひっぺがし、着ていたものを一緒に洗濯機に投げ込むとバスルームで体を洗った。
洗っている内に涙が出てくる。
指で掻き出しても掻き出しても内股からどろりとした精液は溢れ出してくるし、部屋に帰っても部屋中男の精液臭く感じられた。母親が入ってきたらすぐ気付くんじゃないだろうか。
部屋の扉を開けるとまたもぞもぞと何も無いベッドに這い上がる。
のそのそと丸まりながら
「どうしよう…………俺っ」
ベッドの上で、鼻で堪えていた涙の塊はいつしか嗚咽に変わっていく。
昨日意識を失ってから、多分二時間、三時間くらいしか寝てない。まだ眠い。
俺はまた寝た。
しばらくすると「学校よ」と母親がドアをノックしたけど
「……っ調子が悪い、休む」
と俺は自室から出なかった。
その出来事から数日が経った。
体が以前と違い何か変だ。
しばらく自分で「する」ような気に慣れなくて一切手付かずだった自分の、足の間のやつを、昨日の夜触ってみた。
そしたら全然イケない。勃ちも鈍いし、刺激への反応がいまいちで、何回試しても同じような反応で、これは心因性の何かかと内心慌てて、またどうしよう……となった。
これはあの晩ケツに入れられたせいで、こうなっちゃったのだろうか。
これからずっとこうならどうしよう。
恐ろしくなって、翌日学校の中で、自分に気がありそうな、そして誘えば気軽にのってくれると評判の隣クラスの女子を誘って、ホテルにもつれ込んでみた。
でも、全然ダメだった。
途中まではゴムを付けたちんこが勃つものの、急速に中折れする。
これは……トラウマ……?あの晩の。
あんなに一晩で何回もヤられて、ちんこもおかしくされて、故障しちゃったのか?俺の体。
うそ……だ、ろ…………。
……………………………
暇そうに正夜は時計を見回す。
ふと、朔の無惨な情事中の顔が頭に思い浮かんできた。
あれから何日が経過してるっけ。
もう10日ほどか。日が経つのは早いものだ。
「そろそろかな……」
スマホを手でもてあそぶように、やんわりとゆっくり懐ポケットから取り出す。
……………………
ふいにスマホの着信音が鳴った。
ベッドに伏せていたが、のろのろと起きあがって投げ捨ててある学校の制服の上ポケットから携帯を取り出すと、心臓を掴まれるような文面が目に入った。
「to. 朔
こないだはありがとう。良い写真が沢山撮れたので、朔に添付します。 from. まさや」
とあった。
画像は一気に四枚ほど付けられていて、口から何かが飛び出るほど驚愕するような写真だった。
俺自身があの晩の裸の状態で、誰かの指でちんこをもたれ萎えたそれを引っ張り立たされいじられているとことか、
ほとんど後ろの穴の奥が広がり丸見えになっている状態で開脚していて、乳首をまたもや誰かの手でつままれている写真とか、
穴に指が三本ほど突っ込まれ掻き回されているような状態のショット、どれもに俺の放心的な寝顔がバッチリ映っている。
「何これ……!何これ!!嘘だろ!!あの野郎……馬鹿!!糞!!」
思わず携帯を地に叩き落としてやろうかと思ったがそんなのしても何にもならない。
プルルルルルルルルルル
バイブと共に手元のスマホが鳴り、更にダブルの衝撃で驚く。
誰だよ、ていう番号で。
「は、はい、モシモシ」
「朔?写真見れた?」
「おっまえ……」
あいつだ。正夜の声だった。
「大丈夫?変わりなく女抱けてる?あれから朔の体何か変わってない?急ーに、心配になってさ」
白々しい一声が次いでかけられる。
「はぁ?え、何?おまえ。あんな……ことしてっ!呑気に電話かけてきて、あの写真っまで!信じらんねー!なんだよあれ!!」
「いっぱいあるよ、あんな写真」
「!?おいっ!!!」
電話越しに笑い声が聞こえた。
「ちょっと夜の公園まで出てきてくれる?もう、……そうだなぁ」
ふと電話口から声が止み、しばしの……の後
「もう夜の7時だけど。今からなら8時までには来れるでしょ」
「正夜!!おい」
「来いよ……朔」
最後の一言だけは笑いが含まれずに声色にドスを帯びて、それきり電話を切られ、虚しいツーツー音だけが手のひらを流れている。
◇◇◼️◇◇
真っ暗闇の公園には長細い電灯だけが足元の頼りとなる。指示された公園についた。不安で胸が重苦しく、心臓がずっと鳴り響きながら、正夜の元へと向かう。
そしたら全然いない。
「はっ!?あいつどこだよー……!!」
信じらんない。何でいないワケ!?呼び出しといて……。呼び出した本人が!!!
公園の時計はもう8時に秒針が重なりつつあった。
しばらく10分ほどベンチに腰を下ろして待つ。
その間ずっと俺の心は沈んでいた。
「あっー!ごめん、ごめーん、待った?悪い。手間取っちゃってさ。よっ。久しぶりっ」
なんとも明るい態度で当の正夜が現れた。銀色のジャケットを着込み、まるでただの遅刻を誤魔化す友人のように。
「ーっっ!!久しぶりっじゃねぇよ!!!」
顔を上げて声の音量がデカくなる俺を正夜は宥めるように言った。
「まぁまぁまぁ、ここじゃなんだからさ、あっちにタクシー止めてあるから、ちょっと、ちゃんと話せる場所行こうって。ね?朔」
腕を掴まれる。190cmは越すであろう背丈の奴。殴りたいけど身長差がある位置から思い切り俺を見下ろして来る奴の目の笑わない微笑む表情を見ていると、出かかった拳が一旦引っ込み、本当に俺の足はタクシーに乗ってしまった。
◇◇◼️◇◇
タクシーの中で正夜はわざと尋ねる。
「あれから腰の調子はどうだった?」
「痛ぇよ!!!」
「散々突いたもんなぁ……」
そういって、顎を触りながら無表情でタクシー前部のバックミラーを見据えている。
タクシーの運転手はハンドルを持ちながら明らかに聞いている。
こんな会話、まるで俺たちが合意のホモカップルみたいに聞こえるじゃないか。
無理矢理ヤられたんだー!とか、それ以上の情けない上塗りの会話は出来ない。耐え難さを堪えて引っ込めた。
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