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第20話(了) 二人して太陽浴びるエピローグ

「ァッアッ!!アァアんアアアッ」 「はぁっ、やっぱこっちの方がいいねー!朔」 「ゥァアッ!イくっ!!イくうゥ!!!」 あれから正夜の家にまた無事帰宅し、俺は両親にも会えずじまいの連絡も出来ないまま、こんな毎日を過ごしていた。 すっかり見慣れてしまった港湾付近の無機質な……我が家。 ベッドの柵に手を掴み、仰向けの俺を激しく突き上げ揺さぶりながら正夜は喋る。 「もう、辞めようかな、組織に爆弾落としてぶっ壊してやる………なんて、ねえ、朔どう思う?」 「ぁあっ?」 独り言のように話しているから一瞬何を喋っているか頭が追いつけない。 「僕はこのままあんな犯罪組織から抜けて、………何もかも諦めて捨て去るのと、………自分の命を張って、悲願を遂げ一糸報いるかで、悩んでる。ねぇ、朔。朔が決めてよ。僕はどうしたらいい?」 「そ、そんなの、抜けて!諦めろ!に決まってんじゃないか……命張るってし、しぬつもりか……ての!」 「抜いていいの?」 ズルぅ…… と入り口まで意地悪く引き戻される。 「あっ!ちょっと……抜か、抜かないで………」 「…………わかった。自分の中でそれだけを頼りにすがって生きていたものを捨てるのは恐ろしい……。でも時には、捨てなければ自分が解放されないのだとも思う」 動きが再開される。 「もし神様なんかがいるとしたら、僕を生かすために朔をプレゼントされたんだとさえ……今はそう信じている」 「ゥっううう……ううう!!正夜ぁ」 抱きついた。 よくわからないけど、生きてるならそれだけでよかった。 「人は皆……自分で分岐を選んでるんだよね……朔」 「………そうだ…お前が選んだからこの終わり方なんだ………」 月だって消えても新しく生まれ変わるじゃないか。俺の名前が、まず、そーだし。何も無くなったように見えても、絶対、そこに存るんだ。お前の心は、変わらず。朔おれが居るように。 生きてる限り、いつだってより良いエンディングを選ぼうとする。それが、絶対、絶対良いんだ。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ そしてあれから、月日が経った。 ビーチの波間が燦々と降り注ぐ日差しに照らされ、きらめいている。 波状が繰り返し押し寄せるごとに降りしきる光と戯れる。 ここは海外。プーケットという、外観、楽園の観光地。 俺は、ビーチチェアに寝っ転がりながら、エメラルドグリーンの海と真っ青な空と丸い太陽にサンドされ、フルーツの刺さったドリンクを飲んでいる。 しばしのバカンスとして、俺たちはこの国に訪れている。 俺は23歳になってるし、正夜は21歳になっていた。 現在の正夜はフリーのホワイト?ハッカー。電子社会の情報屋として独立し、日々シノギを削っている。 俺は結局あのドサクサで高校中退してしまったし、今はほぼ何にもしてない。 あー、たまにバーテンダーのバイトしてるよ。週二回くらい。 髪の毛を完全に金髪に染め直した頭で働いている。 あれから俺と両親はどうなったのか あの忌まわしい組織はどうなったのか 正夜が組織と一体どのように手を切ったのか テクノロジェックス社とあれからどういう関わり方をすることになったのか 「ヘルタ」システム「ボルシア」システム「ゾナー」システムの話 語りたいことは一杯ある。 でもそれはきっと長い別の物語に換置されてしまうだろうし、この場で語ろうとするのはやめておく。 とにかく俺達二人が最悪な形で出会ってからの襲われてからの監禁されてからの、俺と正夜だけのストーリーは、一応がこのような結末を迎えたのだった。 ふいに耳たぶのリングのピアスが誰かの手によっていじくられた。 振り向くとシャツにサーフパンツの薄着スタイルにサングラスをかけた正夜だった。 ~欠月~      了

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