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第1話
両親は共働きで学校から帰宅したら、気ままな日々。
のはずだった。
◆
二階の自室に戻る前に、学校指定の鞄を置くとソファに座り、スマホを弄り、暫し、寛いでいた。
来年、受験を控えてるとはいえ、息抜きも大事。
スマホゲームに夢中になっていた俺だった。
天井の軋む音、しばらくは我慢した。
2つ上の兄貴、大介の部屋、彼女とセックスしてるんだろう。
が、こちらもゲームの妨げになりつつあり、我慢の限界だった。
「ギシギシ、うっせーよ!静かにやれよ!バカ兄貴!」
階段を上がり、勢いよく、兄貴の部屋を開け、怒鳴りつけた。
が、互いに瞬時で固まった。
ベッドの上、裸で絡み合っているのは女じゃなく、俺のクラスメイトの俊だった。
何度か家に遊びに来たことはある。
まさかの男同士の交尾を前に、呆然とした。
慌てて、兄貴と俊もそれぞれ、前を必死に隠した。
「頼む、祐介、親には言わないでくれ」
俺は閃いた。
「口止め料」
冷ややかな目で二人を見下ろし、低音で唆した。
「....は?」
俊はブランケットを肩から被り丸くなっている。
兄貴は股間を同じく掛け布団で隠してる。
「なんで口止め料....」
「払う、払うよ、だから言わないで」
俊の声は微かに震えていた。
「...兄貴と付き合ってんの?いつから?」
「....半年くらい前....」
そんな前から、と俺はショックを隠せなかった。
それからというもの、俺は元々、あまり、兄貴と会話する方では無かったが、ほぼ、必要最低限の会話しか無くなった。
俊は秘かに学校で俺に金を渡すようになった。
「....俊が唆したのか?兄貴のこと...」
俊は答え無かった。
俺もそれ以上は尋ねはせず、金は手付かずなまま。
ただ、天井や兄貴の部屋からのベッドが軋む音、微かに漏れて聞こえてくる、俊の喘ぎ声に、怒鳴り込むことは無くなった。
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