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第18話

大悟がチゲ鍋をレンゲで掬い、口に運ぶまで、惇生は固唾を飲んで見守った。 「う、美味い...?」 「うん!美味いな」 ホッと胸を撫で下ろす。 以前、ファミレスは存在は知っている、という大悟を世間知らずだと呆れた。 当たり前のように自慢もせず、外車に乗り、惇生にくれた腕時計も高級ブランドだった。 優雅な食べ方といい、ファミレスのような安いレストランを知らなかったのだろう。 きっと、惇生にはわからない、入る事も難しい高級店で腹を満たして来たんじゃないか、と気づき、急に大悟の口に合うのか、心配になったのだ。 「食べないのか?惇生」 「え、ああ、食べるよ、美味そうだな」 ニコッと笑顔で大悟は答えた。 こっちも美味い、これも美味いよ、と2人でテーブルに並んだ料理に舌鼓を打った。 「大悟がさ、嫌いな食べもん、てなに」 ピザを持ち上げながら尋ねた。 「んー...フランス料理のフルコース」 思わず、惇生は吹き出した。 「大丈夫か?」 「だ、大丈夫、なんでまた?」 「腹に溜まらないし、小難しい話しを挟む事が多いからかな」 そう言うと唐揚げを放り込んだ。 「....好きなのは鶏の唐揚げ?」 唐揚げを頬張ったまま惇生を見、目を丸くした。 ごく、と飲み込むと、 「よくわかったな」 思わず惇生は笑った。 「そりゃ、いつも唐揚げ、食ってんじゃん」 「え?ああ、確かに。学食で初めて唐揚げ食ってからさ、好物になった」 「学食か...」 「惇生はきつねうどんだよな」 「うん。変わってる、て言われるけどさ」 「好きなら、それでいいんじゃ?誰になに言われようがさ。てか、さっきの話しだけど...」 「ん?」 「....悠介が彼女出来た、て話し。ホントに平気なのか?」 「ああ、その話か。平気だよ、自分でも不思議だけど。あんなに好きだったのに」 遠い目の惇生を見つめた。 食べて失恋を忘れたいのだろう、大悟は勝手にそう解釈した。 「とことん食べようぜ。付き合う」 「まだ食べたりないの?お前」 惇生は何も知らず笑った。 「あれっ、惇生じゃん、何やってんだよ」 聞きなれた声に振り向くと、そこには悠介と付き合い始めた美香が並んでいて、美香が微笑み、小さく頭を下げた。

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