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お風呂を出た僕はシュウさんのでかいTシャツを着た。僕の来ていた服は全部処分されてしまっていて、今はシュウさんの服しか着させて貰えない。シュウさんの服なので当たり前だが.....デカい。だから僕が着るとワンピースみたいになってしまう。
と、それは置いといて。
早くこの部屋から出なくては。
もう、仕込みは終わったからあとは僕の合図次第だ。
ドキドキしながらチラリとリビングの方を覗くと、ちょうどパンツ一丁のシュウさんがこちらに背を向けていた。
(今だ!!)
寝室を出て、リビングの玄関へ続くドアの元へと忍び足で駆ける。そして音を立てずにドアを開けスルりとリビングから出た。寝室のドアを音もなく閉めるのは難しかった為、少し開いたままになっている。それがシュウさんに見つかるのは時間の問題だ。だから早くこのおぞましい部屋から出なくちゃいけない。
(でももうあとは玄関だけだ。シュウさんはまだ調理中で、しかも今まで僕が逃げる素振りをしなかったからか、そこまで警戒してないように見える。だけど、なんか――)
なんだか簡単にここまで来れたせいかなんとも言えない不安と違和感が僕を襲う。玄関へと続く廊下で立ち止まった僕はなにか見落としていないか考えるが、そんなもの見当たらずただただ不安が募るだけだった。
(......そうだ。なんか見張られてるような.....見張られてる?)
僕は急いで振り返った。
しかしそこには誰もいない。
「はぁ....考えすぎかな。もう後には引けないんだし、行くしかないよね」
もうリッパーで斬ってしまった。前に進むしかない。
そう決心すると僕は玄関の方を見据え足を進めた。
しかしその時――
「どこ行くんだ」
「っ!?!?」
聞こえた声から距離を取るように玄関側へ飛び退く。顔を上げると僕を無表情で見下ろすシュウさんが立っていた。
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