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第14話 湯殿 其の二★

  「……んっ……ぁ」  より挿入しやすいように、無意識に足を広げて膝を立てて。  かり、と胎内(なか)を引っ掻くようにして刺激すれば、それだけで卑猥な音を立てて溢れ出すのは、竜紅人(りゅこうと)の熱だ。 「んんっ……」  掻き出す仕草だけをしているというのに。  蕾の中の柔らかな媚肉は、指をやんわりと締めて味わい、舐め回すように収縮を繰り返し、奥へ奥へと誘い込む。 (……足り……ない)   すっかり慣らされた秘処は、香彩(かさい)の細い指の一本を貪欲に食らい尽くし、もっと寄越せとばかりにひくついては蠕動する。  二本目を呑み込ませても、それでも物足りないのだと身体が啼いて堪らない。疼く身体を啼き止ませる為にはどうすればいいのか、香彩自身とても良く分かっている。  指を三本に増やす。  ゆっくり、ゆっくりと。  三本の指を後蕾に呑み込ませる様子に、熱い視線を感じた。  ああ、竜紅人が見ている。  そう思うだけで後孔の蕾の、一番締まる部分が、きゅうきゅうと三本の指を食い締める。 「は、ぁ……」   指が届く一番奥までそれを入れて、ぐうるりと掻き回せば、ぐちゅ、と厭らしい水音が湯処に響く。  香彩は竜紅人の方へ、少し顔を傾けた。  聲の腹いせとばかりに、目の前にある彼の首筋へ、熱い息と言葉をぶつける。 「んっ……りゅ……う…」 「気持ち、良さそうだな……」 「ん……きもち……りゅ、うぅ……」  愛しい名前を呼びながら手淫に耽けようと、自身の陽物へと向かっていた手を、竜紅人に取られる。  そのまま押し止められてしまって、気付けば形の良い長い竜紅人の指が、香彩の薄桃色をした陽物を絡め取っていた。  そして。 「──っ、んあっ……だめ……っ、む……り」 「……大丈夫……無理じゃねぇよ……」  竜紅人のもう片方の手は、後蕾にある香彩の手の甲を包み込む。そして後孔の胎内(なか)へと挿入(はい)っている香彩の指を、ゆっくりとなぞるようにして胎内(なか)へと潜り込む。 「あっ……!」 「さっきまでここ、もっと太いもの……咥えてただろう?」 「ん、む……り……、っ」 「……大丈夫だ。ほら……」 「やぁ……っ!」  香彩よりも長い竜紅人の指の二本が、香彩の指を入れたまま、届かなかった場所を刺激する。  引っ掻くようなその動きに、香彩の身体がびくりと跳ねた。  同じ動きをしているというのに、竜紅人の指が胎内(なか)で動いていると思うだけで、身体は彼から与えられる快感を逃すまいと、敏感に拾うかのようだ。  自分の指を抜こうにも、抜くなとばかりに竜紅人の手に包まれている。  素直に快感を追いながらも竜紅人を見れば、ぎらついた光を宿しながらも、優しげな瞳の伽羅色とぶつかった。  りゅう……と、喘ぐ声の合間に彼の名前を呼べば、啄むような接吻(くちづけ)が幾度も唇に落ちてくる。  長い指で絡め取られた陽物を緩く扱かれれば、先端から溢れて出した蜜が彼の指に絡まって、いやらしい音を湯殿に響かせた。   その露骨な水音は何度聞いてもやはり慣れなくて、いたたまれなくて、恥ずかしさで全身が熱くなる。 「や、ぁ……」  そんな香彩の様子を楽しむ、竜紅人の気配が伝わってきた。  くすりと笑いながら竜紅人が蜜を塗り込めるようにして、ぷっくりとした胸の突起を弄る。その淫らな様子に香彩は、深く色付いた声を上げた。  ぬるりとしたその感触。  滑りを利用して、まるで弾くようにして弄られ、そして摘ままれれば、胸の頂きは濃桃に色付き、先走りの蜜でてらてらと妖しく照る。  背を反らし腰を突き出すようにして身じろげば、ちょうど尾ていの辺りに竜紅人の雄を感じて、香彩は息を呑んだ。  びくりと身体を揺らして反応した香彩に何を思ったのか、竜紅人は後蕾から指を抜いた。そしてゆっくりと香彩の指も後蕾から引き抜く。  香彩が倒れないことを確認して、竜紅人は香彩の横に立った。  何をしようとしているのだろうと、香彩は思った。だが竜紅人が、自身の男根の根元を持った時点で分かってしまって、ぞくぞくとする。  香彩はその猛りに手を伸ばした。 「りゅう……」  蕩けた瞳の香彩が、細い指を男根に滑らせる。 「……っはっ……」  気持ち良さそうに息を吐く竜紅人に、香彩は胸がいっぱいになった。もっと感じてほしくて、香彩は手淫に耽る。  狂暴なほど赤黒く勃ち上がった男根から、先走りのものが出て、香彩の細い指に絡む。  ぬちゃりという音と共に、息を詰める竜紅人の息遣いが聞こえ、まるで耳まで犯されているようで堪らなかった。 「……次は口で、してくれるか……?」

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