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 風呂を出て、ドライヤーで髪を乾かしながら。  今日起きた出来事を思い返していて、ハタと気付いた。  ‥‥‥場所なんて一切説明していなかったはずなのに迷う事無く、普通に自宅前まで西園寺さんに送られた事に。  やっぱりあの人、がちのストーカーじゃないか!  そう思い至り、また戦慄した。  だって職権乱用して僕の住所を知ったのだとしても、気付かれぬようそっと僕のあとをつけて自宅の場所を探ったのだとしても、どちらにしても恐過ぎる。  そういえば今日は彼を邪険に扱うでもなく、普通に接したはずなのに、結局西園寺さんの気持ち悪い言動に特段変化はなかった。    一日だけでは効果は出なかったが、僕が冷たくするせいで彼がストーカーと化しているというならば、引き続きなるべく意地悪を言わないようにしよう。  そうすればそのうち彼は目を覚まし、僕への執着なんて失うに決まっているのだから。  それが少しだけ寂しいなんて感じてしまうのはきっと、気のせいだ。  ‥‥‥そうじゃないと、困る。 *** 「おはよう、陸斗くん。  君の顔が見たくて、迎えに来ちゃった」  昨日ちょっと、優しくし過ぎたせいだろうか?  翌朝玄関を出るとそこには、いつものように外車の助手席に座り、にこやかに微笑みまるで皇族みたいに手を振る、調子に乗った西園寺さんの姿。  朝のお迎えは初めての事だったから、正直メチャクチャビビった。  ‥‥‥これでは完全に、逆効果ではないか。  それでもまだ彼が単独で迎えに来るなら、良い。  良くはないけど、もう仕方がないと思う事にする。  だけど全く関係のない、秘書の二見さんまで巻き込むなよ!

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