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「‥‥‥特賞 温泉旅行ご当選おめでとうござい……ます?」
書かれた文言を僕が読み上げると、両親は心底申し訳なさそうな表情で、ほぼ同時にコクンと頷いた。
「今日原くんのお母さんが、タダ券があるからってランチに誘ってくれてね。
そこでたまたま引いたくじ引きで、これが当たったのよ。
……三人分」
なんだ、そんな事か。
……めちゃくちゃ、ビビったじゃないか。
ハラちゃんはただのバイト仲間ではなく、僕の幼なじみでもあるため、親同士も昔から仲が良い。
うちはまだ小学生の妹、莉緒を含む四人家族。
僕は小さい頃、何度か家族旅行に連れていって貰った経験があるけれど、父親が体調を崩しがちになってからはそういった事はほぼ無くなってしまった。
三人分の温泉旅行に当選したとの事だが、うちには経済的余裕なんてモノは一切無いから、四人目の。
‥‥‥つまり僕の宿泊費と交通費を追加で捻出するなんていうのは、難しいという話だろう。
というかそんな下手な気遣いをされたせいで、今月の生活費に支障が出る方が余程困る。
僕ではなく、幼い莉緒を連れていくというのは当然の選択だろう。
異論があるどころか、むしろ大賛成だ。
妹にも苦労をかけているから、少しでも楽しい思い出を作ってきて貰いたいと、心から思う。
だから僕は、満面の笑みで答えた。
「良いよ、良いよ。
僕はちっちゃい時に、何回か旅行には連れていって貰ったし。
ゆっくり三人で、楽しんで来なよ」
「ありがとう、陸斗!
本当にお前は、良い子に育ったな。
そうだ!お土産、いっぱい買ってくるから!」
今度は父親が涙目で告げ、僕にハグを求めてきた。
そのため僕はそれを華麗にサッと避け、微笑みながらも今度は冷たく言い放った。
「いらない。隙あらば無駄遣いしようとするの、ホントやめろ。
土産話と写真だけ、楽しみにしてるから」
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