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「こんにちは、陸斗くん!
俺からのプレゼント、身に付けてくれているんだね‥‥‥嬉しいよ」
12月24日、14時過ぎ。
バイトを終え、にこにこ弁当の裏口にあるドアを開けるとそこには、満面の笑みを浮かべてスーツ姿でビシッと決めた、西園寺さんの姿。
「こんにちは、西園寺さん。
ありがとうございます、サイズもピッタリでしたよ。
本当に、怖いくらい。
だけどさすがに朝これを着て出勤すると、かなり浮きそうだったので、さっき着替えました。
そのせいで荷物が多くなり過ぎたから、更衣室のロッカーに収まり切らなくてめちゃくちゃ困りましたけどね」
にっこりと微笑み、たっぷりの嫌味を込めて答えた。
ちなみに朝着てきた普段着は、先程までスーツやら革靴やらが入っていた旅行鞄に突っ込まれ、現在僕の右手にある。
だけど嫌味には気付かないのか、西園寺さんはデレデレと鼻の下を伸ばし、その荷物を僕から奪うように受け取ると、いそいそと助手席側のドアを開けた。
車に乗り込むと西園寺さんは、特に車を発進させるでもなく、ただ満足そうにうっとりと、僕の事を視姦した。
‥‥‥さすがにこれは、気持ち悪過ぎるだろ。
「‥‥‥あまりジロジロ、見ないで下さいよ」
仏頂面でそう言うと、西園寺さんは真顔で答えた。
「ごめん、それは無理だよ。
だって俺の用意したスーツを着てくれた陸斗くん、最高に可愛い。
好きだ、愛してる。今すぐ、結婚しよう!」
「西園寺さん。いつも以上に気持ちが悪いし、言動がおかしいです。
僕もうやっぱり、帰っても良いですか?」
にっこりと微笑んで聞くと、彼は涙目になり、駄目だ、ごめん、それだけは許して下さいと懇願した。
先日ようやく彼への想いを認めたはずなのに、いい年をして今にも土下座しそうなぐらい必死に訴える西園寺さんを前に、なんで自分はこんな人の事を好きになってしまったのだろうと心底ゲンナリした。
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