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第14話
自動車が停止したのは隣町との境目にある土手。
キャンプが出来る川縁は誰もいない。
車もだ。
暗くて見張らしも良く、絶好のカーセックス場所。
憩いの場所として使っている人達には申し訳ないほど、暗がりではそういう為の場所に見えてしまう。
「お待たせ。
良い感じに焦れてんな」
振り向く恋人の顔は既に男のそれで、頭の中が更に溶ける。
「早く……触ってください…」
「もう待ち切れねぇ?」
「ローター、が……」
運転席から後部座席へと乗り込んできた長岡は、ニヤニヤと緩む口元をマスクで隠したままじっと見詰めてくる。
放置の次は視姦か。
折角目の前にいるのに。
触れられたい。
触れて欲しい。
ベルトと前を寛げ、長岡の腕を掴んだ。
「ははっ、そんなにかよ。
此所だと見られるかもだぞ。
さっきみたいにジョギングしてる人が通るかも知れねぇ。
ほら、上の橋をトラックが通ってる。
それでも良いのか」
「…い…い、ですから……」
トイレからどれほど我慢した事か。
もう、疼いておかしくなりそうだ。
臍の下辺りがジクジクする。
勃起した時みたいで、それとはまた少し違う。
アナルもローターじゃ足りないと伝えてくる。
コンドームを装着していても良いからいっぱいにして欲しい。
淫らな我が儘は、今はまだ言葉にする事こそないが、長岡に伝わっている。
その証拠が、この顔だ。
焦らしに焦らして楽しそうに笑っている。
マスクをしていたって分かる。
目が、本当に楽しそうだから。
「あ……」
短く切り揃えられた爪先があたたかな下着越しに陰茎を掻いた。
たった一搔き。
それでも、恋人なら与えられたモノには違いない。
「こんだけで十分?
今日は、これでイくか?」
「ほし…い…」
コートの上から握る手首を少しずつ股間に近付けていく。
綺麗な人の綺麗な手を、そんな場所に近付ける罪悪感。
授業中、多くの生徒に見られる手をそんなところへと近付けていく興奮。
息が浅くなる。
心拍数が上がる。
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