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第38話 ある日の陽向

「あれ〜? サム! サムもお買い物?!」 日用品を買い込みにドラッグストアに寄ったら、 後ろから陽向が声をかけて来た。 「ビックリした〜 君って神出鬼没だね〜 誰かと思ったよ!」 「ハハハこの辺りは僕の庭だからね! 所で今日はスティーブと一緒じゃないの?」 あれからスティーブは僕の所に泊っている。 それはトムの要求によるものだ。 暫くの間、スティーブの事を監視したいみたいだ。 「今日スティーブは日本語のクラスに行ってる」 「へ〜 そうなんだ! 結局居着いちゃったんだね〜」 「うん、でも研究所に帰る様に説得してるんだ。 全くあんな置き手紙一つで家で少年みたいに出てくるなんて…… それより、陽向もお買い物? 今日は光と一緒じゃないの?」 キョロキョロと辺りを見回したけど、 何時も影からヒョイと出てくる光が今日は見当たらない。 「そうなんだよね〜 今日は急に茉莉花さんに呼び出されて実家へ行ってるんだ」 僕にとっては、あまり一人でいる所を見ない陽向だけにちょっと違和感を感じた。 「陽向は薬局へは何をしに? やっぱりどこか具合が悪いとか?!」 前には体調は万全と聞いていたけど、 やっぱり前兆が?と少し浮足立った。 陽向は少し辺りをキョロキョロとすると、 「僕は今日はちょっとお薬買いに……」 とゴニョゴニョと言い始めた。 「お薬? 光の?」 「違う、違う、僕の! 実はさ、大きい声では言えないんだけどさ……」 そう言って陽向が耳打ちして来た。 「僕さ、今まで便秘した事ないんだけどさ、 最近お腹が張ってさ、 ちょっとボコボコしてるんだよね。 ほら、恥ずかしいけど、 お腹もぽっこりしちゃって…… 実を言うとさ、体重もちょっと増えちゃってさ…… 光にバレる前に便秘治しとかなきゃって思ってさ〜」 と来たから僕は腰が抜けそうになった。 「あ〜っと……それ、光に言ったほうがいいよ?」 そう言うと、 「え〜 だってさ、恥ずかしいじゃん?」 と柄にもなく、腰をクネクネとさせていた。 だから僕は慌てて光にメッセージを打った。 “あのさ、今ドラッグストアに居るんだけど、 陽向と会ってさ、便秘薬買いに来てるって言ってたよ? 自分の事、便秘中だと思っているらしい…… どうする?” そう送信すると、 秒の速さで返事が返って来た。 “すまん。もう医者へ連れて行くわ。 悪いが、引き止めておいてくれるか?” だから “勿論だよ。 あの、僕も病院までついて行ってもいい? ずっと気になってたんだ。 邪魔はしないから!” そう尋ねると、 “ああ、構わないさ。 もうそっちに向かってるから、 一階にあるスパイラルっていうサテンで待っててくれるか?” と返事が来たので、OKと返事を返しておいた。 「ねえ陽向? せっかくだから、一階にあるサテンでお茶でもしない?」 そう尋ねたら、 「良いね、良いね! 僕、少し疲れたから甘いものが食べたかったんだよ〜 喉も乾いてたしね!」 と来たから、 「じゃあ、行こう、行こう!」 と言う事になって、 僕たちは一階にあるサテンへと移動した。

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