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第12話

屹立は、深々と入り込んでくる。最奥まで貫かれて、優真はのけぞった。 「ああっ……、やっ、やめっ……」 氷室の雄が、優真の内部で傍若無人に暴れ回る。敏感な内壁が擦られるたびに、眩暈がしそうなほどの快感が優真を襲った。耐えきれず優真は、氷室の胸に手を付いていた。 (……あったかい)  そう感じた瞬間、優真は衝動的に、氷室のシャツのボタンに手をかけていた。おい、と氷室が焦ったような声を上げる。  構わず優真は、ボタンを全て外した。直接、氷室と触れ合いたかった。そしてその体温を、感じたかったのだ。  やがて現れたのは、最初の時も目にした傷痕だった。一体何年前のものだろうか、切りつけられたような深く長い痕だ。 「八年前だ」  氷室が、ぼそりと言う。 「海外マフィアと争った時にやられた。奴ら、カタギも平気で傷つけたからな。それが許せなくて、徹底的に叩きつぶした。ま、それで今の地位を得たようなもんだが……。優真、お前怖くないのか」  優真は、黙ってかぶりを振った。徹底的にカタギを守り抜く姿勢は、当時から健在だったのか。変わらぬポリシーに、敬愛の念を抱く。 「優真」  氷室はやおら、つながったまま躰を起こした。自ら、シャツを脱ぎ捨てる。後方にある姿見には、彼の背中一面に広がる美しい双龍が映っていた。今にも動き出しそうな力強さは、氷室を象徴しているかのようだった。

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