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LESSON18.5 side:涼一
(続きはファンタジーになるので、スルーでもOKです)
三人でいつものように帰宅する。
学校の門をくぐった時、見知らぬ女が此方を見ていた。
俺がコミュ障だった過去にも同じ事がよくあった。
俺の見てくれだけを見て告白して来る人間。
少し速く歩いて柚希達と距離を取り、間違っても柚希に害が及ばないようにした。
これが裏目に出るとは…。
女は俺の読み通り、勝手な妄想を並べ立てて告白して来た。
コミュ障から柚希のお陰で少し脱した俺は丁重に断った。
その時だった。
空を斬る音がした瞬間、リシェールが被弾した。
一番素早く反応したのがリシェールだったから、柚希を狙った銃撃から庇った。
リシェールを狙ったものだったらかわしていただろうから。
それを織り込んで柚希を狙う事で、庇う俺達を撃つ気だったのだろう。
次の瞬間柚希が素早くリシェールごと物陰に隠れた。
撃った人物…佐伯は柚希の動きに一瞬動揺した。
恐らく動揺した柚希が狼狽えて立ち尽くすとでも思っていたのだろう。
そこを狙われたら確かにまずかったかもしれないが、柚希はああ見えて結構な修羅場を潜り抜けて来ていた。
俺は素早く鉄板入りのカバンで佐伯の頭を殴り、両手を蹴りで粉砕した。
俺は常に襲撃に備えて鞄には鉄板を仕込んでいる。
教科書なんか一度読めば覚えるから必要ないしな。
「…ここが法治国家で良かったな。」
拳を潰されて地に倒れ伏す佐伯に向けて殺気を目に乗せながら言うと、完全に戦意を喪失したようだったので、周囲の生徒に佐伯の事は任せた。
もし柚希が選んだのが他の奴だったとしたら、ああなって居たのは俺だったかもしれないと思うと、それ以上何かしようという気にならなかった。
柚希の所に行くと取り乱したりはしていなかった。
リシェールを抱えて俺の家に運ぶ。
撃たれた箇所を確かめると『リシェールの国』に急いだ。
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