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 ソラと。1*ルカside

「……ン」  ――――……なんか、ものすごく寝たような気がする。  なのにまだ少し、だるい。  ああ――――……昨日のあの酒のせいか。  ふ、と目を開けて。  最近いつも目覚めると一番にしてる、ソラの様子の確認をしようとして。  すぐ脇で、少し丸くなって寝てるソラに気付いた。  は。 かわいーな……。  抱いて眠ってたはずだけど、寝てる間に動いたのか、腕には乗っかっていなかった。  腕を挿しこんで、顔が見える状態で抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。 「……ん――――……」  ソラが少し声を出して、それから、また、すー、と眠る。  無邪気な寝顔。  ――――……見てるだけで、すげえ落ち着くんだよな……。  最初に会った時は、ここまで可愛いと思うなんて、思わなかった。  魔王との決戦の準備で、そういう事から少し離れてた。  仲間とする気は無いし。お互い対象でも無いし。  誰が味方かとか分からない状態で知らない奴抱くのは、あのタイミングでは嫌だったし。  決戦が終わって、しかも魔王に逃げられて、たまりまくったストレス発散に、なんか細っこい、少し泣き顔に惹かれた、しかも違う世界から来たというソラ。  抱くのにちょうど良くて、抱いたけど。  ――――……なんつーか……。  …………反応がツボ……?   一緒に居れば居るほど。抱けば抱く程。可愛く思えて、  なんかもう、オレ、ずっとこの先、こいつだけで良いかも。  ……と、もう結構早い内から、思ってる。    じゃなきゃ、結婚するか?なんて、口にしねえし。  ただ、ソラの気持ちはついてきてないと思うから、そこまで追い詰めないようには、してる。  会って日数もそんなに経ってねーし。  ――――……ソラには、ここは、本来なら関係の無い世界なんだろうし。  帰りたいと、思う気持ちもあるだろうし。  ただ、たまに――――…… 一緒に居たそうな顔をしたり、そんなような事を言ったりは、するけど。  多分ちゃんと考えられてないに違いない。  アホだからな、こいつ。  ……とか言ったらきっと、すげーむくれるんだろうけど。  ソラに妄想癖があるとかではなく、言ってる事は多分正しいとオレが信じている根拠は、最初にソラが身に着けていた衣服。この世界のものではなかった。あんな生地をつくる技術は無い。という事は、あれを作れる技術のある、どこか別の世界にソラが居たのは確かな気がする。  オレは元々ここで生きてて、そこにソラが突然現れて。  それでも、今確固として、ソラはオレの側に居るし。一瞬で霧みたいに消えそうって気は、過ごせば過ごすほど、無くなっては来てるんだけれど。  それでも、異なる世界を移動したからには、何らかの理由があるんだろうし。  その理由次第で、戻ったり、更に別の所に行ったりはあるかもしれない。  どうすればそれを防げるのか。  ……そもそも防がれたいとソラが本気で思ってるのか。  帰りたいんだろうか。  ……毎日、わりと楽しそうな顔はしているけど。  「元の世界に帰るか」「ここに残るか」  本気で今それを選べと言われたら。選んだらそれで決まると言われたら、ソラはどうするんだろう。  喜んで、帰るんだろうか。  突然こっちに連れてこられたって言ってたから、残してきたもの、山ほどあるだろうし。そう言われても当然だとも思うが。  ……帰りたいソラを、帰れないようにしてもしょうがない。  でも――――……ずっと、オレと居てほしいんだけどな。    頬に触れて、そっとなぞる。  ……寂しいとか、感じさせない位、可愛がるし。  ――――……どこでも行きたいとこ、連れてくし。  こっちで、やりたい事、全部応援してやるし。   他の奴と付き合いたいとか、そういう希望は叶えてやれないけど。  それ以外なら、何でも叶えてやるから。  この世界でお前が死ぬまで、絶対一緒に居るから。  ――――……オレと、ここに居ろよ。  と。  ――――……言ってしまいたい。  が。  また、早過ぎるよな。と、自分を押しとどめている。 「……ルカ……?」  ソラが、いつの間にか瞳を開けていて、オレを見ていた。 「ああ――――……起きたか……」 「ん……おはよ……」  言いながら、目を擦ってるソラ。  ――――……これ、いつもやる。  可愛くて、この動作も、なんとなく好きだけど。  やらなくなりそうだから、言わない。 「……いつ、起きた?」 「少し前」 「そっか……んー……」  言いながら、ソラは何を思ったのか、すり、とオレにすり寄ってきた。  一瞬で、興奮しそう、オレ。    と思ったら。 「だるいようー……」 「……ん?」 「……ルカ、昨日、しつこすぎて……」 「ん?」  しつこかったか?  ――――……そういやいまいち、覚えてねえな。  昨日の記憶を呼び戻そうと、考えてみる。  すり寄ってきてるソラを、抱き締めながら。

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