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第30話

 4ー2 愛玩奴隷は、退屈してます。  すぐに状況を察知してくれたワチさんは、俺を1人にしてくれた。  俺は、ワチさんが部屋から出ていくとすぐにベッドの下のおまるを取り出してそこへ用をすませた。  ううっ。  このおまるは、どうしたらいいわけ?  俺は、とりあえずベッドの下へとおまるを戻すと、着ていた夜着を脱いで湯船に浸かった。  お湯は、なんだかいい香りがしていた。  花の香り。  俺は、目を閉じてのんびりと体を湯に沈めた。  気持ちいい。  全身の疲れが癒されていく。  不意に、誰かの視線を感じて、俺は、周囲を見回した。  うん。  誰もいないな。  「気のせいか・・」  湯船の中で体を洗い、俺は、風呂から出るとワチさんが用意してくれていた大きな白い布で濡れた体を拭ってから新しい服を身に付けていった。  白い下履きに白いシャツ、黒いズボンを着終わった頃にドアが開いてワチさんが部屋へと入ってきた。  手には艶のある木製のおぼんを持っている。  美味しそうな匂いがしてきて俺の腹がぐぅっと鳴った。  いや。  何しろこの世界に来て以来、2日間ほどの間、ほとんど何も食ってなかった。  とても、それどころじゃなかったし。  いきなりの断罪に始まり、裸でオークの群れに放り込まれたし。  そして、ロイとの出会い。  さらに、スマホ女神登場。  最終的には、奴隷落ち。  ほんとにいいこと何もなかったし。  俺は、窓際のテーブルにつくとワチさんの給仕してくれたお粥をいただくことにした。  本当に、いろいろなことがあったなぁ。  俺は、粥を食べながらいつの間にか涙を流していた。  泣きながら粥を食っている俺を見ても、ワチさんは、顔色1つ変えることなかった。  俺は、涙の味のする粥を食べ終えると、ワチさんにそっと尋ねた。  「俺、これからどうしたらいい?」  「そうですね」  少しだけ考えてからワチさんは、俺に微笑んだ。  「アザゼル様からは、特に何もお聞きしていませんし、お部屋でのんびりとお待ちくださいませ、セツ様」  ということで、俺は、朝食をすませるとベッドに腰かけてぼんやりとして過ごしていた。  部屋は、奴隷に与えられるものとは思えないぐらい広くて日当たりもよく、まるで、一流ホテルのスイートルームのようだった。  だが。  俺は、退屈していた。  何もすることがない。  仕方がないから、俺は、大きな窓に張り付くようにして外を見ていた。  

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