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第19話
二人が結ばれてから1ヶ月後。湊音は完全に李仁に夢中である。自分から求め、目をトロンとさせている。体を密着させて李仁の体にすりすりと自分のものを押し付け甘える。
「もっと李仁と一緒になりたいなぁ」
李仁は少し驚く。あっという間に湊音の体が順応していく姿を見て二人はより一層仲良くなってきた。
いまだに外で出歩く際は周りの目を気にする湊音だが、二人でいる時はベタベタの甘々になる。
二人の息は荒い。手をしっかり握り合い、互いの温度を共有させて、湊音は李仁の白い背中にキスをし、たくさんキスマークをつけた。
「つけ過ぎ……」
「他の男に抱かれないように……」
「バカぁっ」
「バカだよ、僕は。早くこの気持ちよさを知っていたら……早く李仁を満足させれたのに」
優しく李仁を撫でる。
『前の妻にはこんなに優しくしなかったくせになんか愛おしく感じる、なんでだろう』
李仁が仰向けになり、湊音を見つめる。
「李仁……」
「愛してるっ」
「僕もだよ、愛してる……」
優しくキスをした。そして互いにキスマークをつける。たくさん、たくさん。
そして今度はまた李仁が湊音に入る。
「李仁は僕のもの……」
「ミナくんはわたしのもの……」
もうぐちゃぐちゃに入り乱れる。朝まで、何度も何度も……。
「李仁は絶対僕のものだからね……」
2人が同居を初めて数週間後の放課後。湊音は職員室で大島と話をしていた。
「なぁ、湊音。そろそろお前らの家行かせてよ」
「あ、じゃあ今度の日曜に」
「ん、まじか。よっしゃ」
「人手が欲しくて。マットレス解体」
新しいマットレスとかは買ったのだが未だに解体できてなかったのだ。
「なんだよ、俺は解体業者か? 俺は。妻連れて行こうとしたのに」
「冗談ですよーっ……て? 妻?!」
湊音は驚いて席を立った。大島は笑った。そして手品のように左手の薬指にさっきまで無かった指輪をニヤニヤとつけて見せつける。
「実は今度結婚しますぅー」
「えっ、えっ!?」
すると周りから拍手が。どうやら知ってたようだ。
「お前がウハウハの同棲生活スタートしてる隙にプロポーズしまして、今週末入籍するのよ。で、初めて夫婦になってからの訪問だったんだけど」
大島は周りの教師たちがわらわら集まってお祝いが始まる。湊音も加わって拍手するが少し羨ましいと思う。
『ぼくたちは結婚できない……』
とりあえず大島がベッドの解体しに訪問が決まったわけだが、それをその晩李仁のバーで湊音が伝えに行く。
同棲しても互いの仕事が忙しくて本屋で会ったり、バーで会ってバーで李仁のご飯を食べるということが続いている。
「大島さんが結婚ねー。しかも式は上げずにそのお金でマンション買ったって? まぁそういうのもいいんじゃない?一瞬で夢のように終わるパーティーに金掛けるより長ーく続く住まいにお金かけた方が絶対いいわ」
「だよね。僕も最初は大島さんの奥さん初婚だし、30代半ばだからウエディングドレス着たいんじゃないのって聞いたら写真だけ撮るんだって」
「え? 大島さん……バツイチだったの」
「うん。知らなかった?」
「初耳ぃー」
と、湊音は結婚式の話をさらりと話をしてみたのも少し訳があった。
『写真だけ撮るのもいいなぁ……』
湊音は李仁と結婚式までとはいかないが写真を撮りたかった。
籍入れられない、でも今度こそ李仁とは一生を添い遂げたい。形を残せないからこそ、写真だけでも残したい。
だなんて言えばいいものの湊音は恥ずかしくて言えないのだ。その気持ちを読み取れない李仁はその話をふぅん、と聞くだけであった。
『お願い、李仁っ! 察して!』
と願うばかり。
「どうしたの? なにかついてる?」
「ううん、なんでもない」
「そうそう、ミナくん……ちょっとね、このへんの界隈で今噂になっているんだけどさぁ」
李仁のいうこの辺の界隈とは、夜の街のコネクションのことを指すのだ。
「なんかね、この市でパートナーシップ協定できるかもしれないって」
ブフッと湊音は口に含んでいた烏龍茶を吹き出した。
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