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第8話
「お疲れ」
「こ、こんにちは、よろしくお願いします!!」
黒いミニバンから降りてきた前嶋さんはオレを助手席に案内してくれた。
プールまでは車で15分。
その間、前嶋さんに部活の事だけじゃなくて学校の事とか、前嶋さんの仕事の事とかを話して、前嶋さんの知らなかった事をまた知る事が出来て嬉しかった。
「そっかぁ、俺と智海、10も違うのかぁ。俺、ついこないだ高校卒業したと思ったのになぁ……」
前嶋さんの笑顔を見る度、嬉しい気持ちになると同時に、こんな気持ちなのは絶対オレだけなんだろう、って思ってしまう。
こんな、10も年下の、しかも男のオレに好かれてるなんて、気持ち悪いだけだよな。
そう思ってるのに、オレは前嶋さんへの気持ちを止める事が出来なかった。
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