10 / 15

第10話

1時間ほどの練習。 前嶋さんは、その後いつも帰り道にある銭湯にオレを連れて行ってくれて、中にある食堂で夕飯をご馳走してくれた。 「智海は飲み込みが早いな。前回よりもだいぶ良くなってきたぞ」 「そうですか?」 「あぁ。俺が習得するまでに1年かかった事をもう少しで出来そうなんだからスゲーよ」 「…………」 プールから離れると、前嶋さんはまた優しい笑顔と言葉でオレを包んでくれる。 オレはそれに見蕩れてしまって、このままずっと一緒にいられたら……なんて思ってしまうんだ。

ともだちにシェアしよう!