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例えば及ばぬ恋として【初夜編】8
グッと腰に力を入れると、あきの中にゆっくり俺の亀頭が飲み込まれていくのが見えた。あまりの狭さに息が止まる。指で触っていた時はあんなに柔らかかったのに…こんなに違うのか。
「……っ、はぁっ…クッ…!」
「…ッ…!うっ…」
「やば、きっつ……」
「ウッ…!…い、ったぁ…!」
「ごめんあきっ…!…抜く?」
「ンッ…、うっ……、だいじょう…ぶっ…」
あきは俺の下で目に涙を浮かべて必死に痛みを耐えている。とてもじゃないが、大丈夫には見えない。
グッとシーツを握りしめて歯を食いしばる姿に、自分の苦しさなんてどこかに飛んでいった。
「あき…無理しなくていいから…っ、一旦抜…」
「ンッ…、待って…!やだ、抜かないでっ…!」
「でも、まだ半分も入ってないし…」
「我慢…するっ…!痛くてもいい、からっ…!」
「……けど!」
「爽お願いっ…!俺、大丈夫だからっ…!やめない、でっ…!」
「…………わかった…、じゃあゆっくり呼吸して…?」
「うんっ…、……ハァッ…、……ッ……こう…?」
「ん…そう、息止めないで…」
あきの辛そうな顔を見るのが俺もしんどくて、少しでも気が紛れるように性器に手を伸ばす。もう、中で感じてほしいからとか言ってる場合じゃない。ちゃんと入れられなきゃ、初体験とは言えないのだから。
痛みで萎えかけたあきの自身を軽く握り、ゆるく扱く。その瞬間、痛みだけに支配されていたあきの顔色が明らかに変わった。
「アッ…、あっあっ…!んっ、…っ」
「あき…こっちに集中してて…ゆっくり入れるから」
「ひゃっ…!アッ…んっ…」
あきの喘ぎ声と共に、ガチガチに強張っていた下半身の筋肉が徐々に解けていくのを感じた。
……よかった。これならなんとか、最後まで入りそうだ。
ゆっくりゆっくり、あきが気が付かないくらい慎重に、時間をかけて腰を前に進めた。時折顔を顰める瞬間はあったものの、あきの意識はほとんど勃ちあがったかわいい性器の方に向いてくれていた。
俺の自身があきの身体に完全に収まった頃には、もうすでに痛みはほとんど消えてしまったようで、むしろキュッと俺のを締め付けてくれた。
一応お互いの繋がっている部分に指を這わせて、切れていないかだけを確認する。俺の形に合わせてエグいくらいに広がったあきの穴はどうやら無傷で、ようやく安堵のため息が出た。
「ふぅ……、あき……」
「んっ、…あ…っ……はぁ…」
「あき…?聞こえる…?」
「……ん、……きこ、えるよ…っ」
「どう?痛くない…?」
「ほんのちょっと、だけ……痛い、かも…!でも、大丈夫…!」
「よかった……全部入ったよ…?」
「………ほんと…に?」
「うん……しばらくこのままでいるから…動いてもよくなったら言って…?」
「…ん…!わかっ、た…!」
あきにはカッコつけて『このままでいる』なんて言ったけど…正直めちゃくちゃきつい。
何がきついって……あきの中が気持ち良すぎるからだ。
最初は狭すぎてこっちも痛いだけだったのに、あきの中は時間をかけてピッタリ俺の形に広がっていって…最終的に死ぬほどいい塩梅の締め付け具合に収まった。
比べる話じゃないのはわかっているけれど………ぶっちゃけて言うと、過去一の気持ち良さだ。
そもそも、俺の経験人数は並じゃない。
いまや完全に黒歴史だけど、あきへの片想いを拗らせまくった俺は、性に対してめちゃくちゃ奔放だった。なんの感情もない相手と寝ることに一切の躊躇もなく、経験値だけが積み重なっていって……正直、俺にとってセックスはただの性欲処理に等しかった。
そんな俺が、こんなに一瞬でここまで快楽の沼に落とされるなんて……。もちろん今までは全部女相手だから、後ろに入れること自体初めてだけど…こんなの全く予想外。
男同士のアナルセックスの気持ち良さなんて、せいぜい入れられる側だけの話だと思っていた。ネットからの知識なんて、心底当てにならねぇな。
「……ぐ………、ん……はぁ…」
「……爽?…ンッ…ごめん……もしかして苦しい?」
「いや……むしろ、気持ちよくて……」
「え?嘘っ……ほんと?」
「うんっ……、うわッ…やば、あき…そんな締めんな…!腰、振っちまう…!」
「え!?締めてな…!アッ、爽こそっ…!これ以上…ッおっきくしないでっ!」
「いや、お前が中締めるから…!」
俺はあきの首元に顔を埋めて、大きく深呼吸を繰り返す。
落ち着けよ俺…!
俺が必死に自制心を総動員している間、あきも余裕なさげに焦っていて、少し顔を上げたら近距離で目があった。
たった今あきの初めてを奪ったというのになんだこのしょーもない状態は。お互いの間抜けすぎる状況に、なんだか無性に笑えてくる。
「やっばい……お前、なんなの……?めちゃくちゃ気持ちいいんだけど…!」
「ん……、ほんと?」
「……好きな人とのセックスって……挿入だけでこんな気持ちいいのかよ……やば、すぎるっ…!」
「……っ…!」
「いや……これ…お前の締まりが良すぎるだけか…?」
「えっ!?いや、そんなこと俺わかんないよぉ…!」
…たぶん、両方だな。
13年片想いし続けた相手っていう特別さと、あきの名器っぷりの両方がこの気持ちよさの理由だ。じゃなきゃ、説明がつかない。
ただ入れているだけで吸い付いてくるこの感覚…、
やばい……
身体の相性が……良すぎる…!
「あー……クッソォ……!マジで気持ちいいっ…!余裕ねぇ…っ、俺……かっこ悪りぃ…」
「え…なんで?俺、嬉しいっ…!」
「はぁ…?なんで嬉しいんだよ…俺は、もっとスマートに…」
情けなすぎて落ち込んでいると、あきが急に両手で俺の顔を掴んだ。そのまま鼻同士が密着する距離で見つめられて、ドクっと心臓が跳ねる。
「ンッ………俺、ほんとに嬉しいよ…?爽が俺で気持ちよくなってくれるなんて夢みたい……」
「……あき…」
「初めてが爽で……ッ、……ほんとによかった……俺、童貞でラッキーだったなって…今は思うの…」
「………」
「これから一生…爽しか知らないまま……爽だけのものでいられるなんて……めちゃくちゃ幸せ……」
目を細めて俺への愛を囁くあきへの愛しさが身体中から込み上げてきて…なんだか無性に泣きたくなった。
俺の13年は、きっとこの瞬間のためにあったんだと……確信した。
もう俺は、この人を離せない……
一生。
「爽……だいすき……っ」
繋がったまま、あきの小さな身体を抱きしめてサラサラの黒髪にキスを落とす。相変わらずの甘い香りに、つい深く息を吸い込んでしまう。変態臭いとわかっていながら、なかなかやめられない。
「爽……」
「ん…?」
「俺……痛く……なくなったよ…?」
「え…?」
「あの、だから………もう、たぶん馴染んだから……動いても…大丈夫…、だよ?」
「………わかった…!なるべくゆっくり動かすから…」
「大丈夫…!その、好きに…動いて…?」
「……え?でも…」
「……もうっ……言わせないでよっ……!俺も、中擦って欲しいんだってばぁ!」
「……!」
あきの完全なGOサインに、我慢できずグッと勢いよく腰を引き……
逃がさないと言わんばかりに纏わりついてきたあきの中に、再び自身を埋めた。
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