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母胎
名前を呼ばれたような気がした
橋の方を視ると人影が在る
馨だっ......!
彼の元に駆け出したい気持ちをグッと堪えた
4年前の僕なら、直ぐに駆け寄っただろうな
......成長、したんだ
橋の方にいる馨も背が高くなって大人の男の色気を纏っている
格好よくなってる......
「馨、すき......だよ」
自分でも、聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた
「ふふっ......僕、馨のこと好きなんだ。気づいちゃった。今更、だね」
ちゃんと向き合う時間......欲しかったな
想いを自覚した瞬間
突然、下腹部に強烈な熱さを感じる
「な、に?」
【始まったな、はははははっ!】
「何が起こってんの?」
【私の新しい器だよ。5年かかると思ってたんだけど......早かったね】
「ねぇ、九尾!何なの?」
【新しい私だよ。お前が産むんだ。お前の母親のようにな】
「僕、男だよ?」
【はははっ!関係ないよ。私が女だったんだからね。お前は、子を宿せるのさ。お前とあの男のな!】
「僕と......馨の子?」
【あぁ、4年前身体を繋げただろ?妖狐は、母胎に宿って世に出るまで2年なんだ。私は、九尾だからね。長いとは、思ってたんだが。今回は、祓い屋の血も入っておる。愉しみじゃ】
「やだっ!やめて!」
【始まったんだから、仕方ないだろ?後は、私の心臓を身体が完全に出来終わったら容れるだけ!これで、私は完全復活!妖怪の世の復活じゃっ!】
やだっ!そんなこと......絶対、させない!
だって、馨と僕の子供だもん!
僕が辛い思いしたぶん
馨が僕を想ってくれたぶん
幸せになんなきゃ......
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