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第5話
「ふん、くちゃべるより早くやろうじゃねぇか。そして、今回も五島(5等)くんには最下位の椅子をくれてやるよ」
三浦は意外にも几帳面なところがあり、双六の入ったパッケージを丁寧に開ける。
これも23 Futuresでは毎度のことだが、勝負がついた後、細工や不正がされた等のちょっとした言いがかりが始まる。その為、全く新品のゲームを使うことがルールになった。
「双六自体は尾場さんのショップから買ってきた曰くつき」
「曰くつき?」
三浦の思わぬ言葉に、五島、六川、九岡の3人は同時に聞き返す。ちなみに、尾場というのは彼らの通う蓮田大学の近くに構えられている小さなゲームショップだった。
三浦は待っていましたとばかりに、説明を続ける。
「尾羽さんにも詳しいことは知らないが、ある男に何も言わず買い取ってくれと言われ、買い取ったんだと」
三浦は双六を広げると、コマやダイス、説明書の入っているだろう箱を開ける。
年季の入った木箱。
その箱の中はまるで宝石を収納しているような深みのある青いビロードに包まれていて、クリスタルのように透明感のあるコマとダイス、説明の書かれたスチール製のプレートがあった。
「コマはピンクと黄色。緑色に、青紫かな? ちょっと変わってる」
「サイコロには色がついてないみたいだけど、透明で綺麗だね」
九岡と六川が言うと、五島はプレートを手にとる。数多くの双六をしてきたであろう五島にも珍しいもののようだ。
三浦は五島の手にしていたプレートを軽く引ったくると、話を進めた。
「尾羽さんが言うには、プレートには3行だけ……
『以下の者は永遠に眠りにつくことになる為、必ず守ること
誰かが上がる前にゲームを終えてしまった者
盤上の指示に従わなかった者』」
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