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第33話

「催眠術というのを知っているかい?」 「催眠…術…?」 単語としては知っているけれど…話が唐突過ぎて… よく分からないアキラ。 「そう、催眠療法とも呼ばれるかな…ユウ君には何度か催眠術師の元へ通ってもらい…何重も暗示をかける…君への想いを和らげ、違う第三者への想いとなるように…」 「……」 それはつまり… みずきに催眠をかけて…オレへの気持ちをなかったことにするってこと…? その催眠術とやらがにわかに信じられなくて…疑うようにフミヒコを見る。 「私の知る催眠療法師はとても優秀だ、元来、ユウ君のように真っ直ぐな人間は催眠にかかりやすい…君の協力があれば必ず成功するだろう」 疑心を感じてすぐに答えてくる。 「何か質問があるかい?」 そう優しく聞くフミヒコ。 「心を操るなんて真似…」 どういう方法でするのかなど、聞きたいことは山ほどあるが… みずきの心を勝手に弄ぶような真似… していいわけない。 「倫理から外れている?はじめに言わなかったかな…私は欲しいものを手に入れる為にはなんでもする、金の力に物をいわせてね。ただし本人の強い拒否や心身に影響がある場合は潔く諦める」 フミヒコはフミヒコの持論を説く… 「……」 「反対かな…?今、言ったようにサクヤが嫌であれば無理にとは言わない、君の抱える問題をキミが解決していけるのであれば…私の出番はない…ただ、キミの力になりたいだけだからね」 答えられないアキラへ、見透かしたように囁く… 「……」 オレがこの先…入院して… 付き合うのが苦しくなって、別れようとするけど… そうすればまた…みずきを傷つける… でも、そのまま付き合い続けて… 入院中の自分が…みずきにしてあげれることは…何がある? 身体が悪くなって…歩けなくなって…みずきに世話してもらって… どんどん悪くなってく自分を見せつけて… 結局…みずきを… 悲しませるだけ…

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