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第37話

仕事で疲れてんのに犬の散歩まで行って… 仮眠すればいいのにこうやってオレの帰りを待ってて… 「ありがと…みずき」 起こさないよう、囁くようにそっと伝えるアキラ。 「オレは、お前みたいないいヤツに好かれて…すごく、幸せだった…」 ルードに嫌われたと思った時から…もう、後の人生なんか…どうなってもいいって…諦めてたのに… みずきのおかげで…クリスマスも正月も…誕生日も…旅行だって行けて…楽しく過ごせた… それなのに… 「いっぱい傷つけて…すごく悪いって思ってる…こんな勝手なオレを解ろうと頑張って…」 その先には…なにもないのに… 声にならない声で伝えるアキラ… 「病気がなかったら…オレはお前と一緒に住み続けたいって…思ったよ…」 こんなに尽くしてくれるみずき… 他に別れる理由なんか見つからない… けど… 病気はなくならない… 「だから…今度は…お前が幸せになって…」 幸せになって欲しい…それは本心… もう傷つけたり、苦しませたりしたくないから… 催眠をかければ苦しむことなく気持ちを切り変えさせれるという。 みずきが傷つかず…幸せになれるんだったら… こんないい方法はないから… 「……」 みずきが望む気持ちは… 一緒に幸せになることだけど… どうしてもオレとじゃ… 一緒に幸せになることが出来ないから… ここで断ち切らなきゃいけない… 胸の奥で燻る痛みを伴う感情も…あえて無視をして… アキラはそっとみずきに着ていた上着をかけてやり… 食事の支度をするためにその場を離れる。

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