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13.見せつけ
何を言われたのか、理解に時間がかかっている俺をよそに、ルスは俺の唇を離すと、俺の首筋に顔を埋めるようにして、俺の弱いところを舐め上げる。
「ぅんっ、んんっ」
ルスの温かい舌で撫でられたところが、じんじんと熱く感じる。
反射的に腹の奥にずくずくと熱が集まって、息が苦しくなる。
こんな……良かったっけ……?
戸惑う間もなく、ルスの腕が俺の後ろへと伸びて、俺の入り口を優しく撫でた。
「ひ、ぁ……っ」
びくりと肩を震わせる俺に、ルスは優しく微笑む。
「もう少しだけ、頑張れるか……?」
俺を求める黒い瞳、いつものオールバックはここまでのあれこれで乱れていて、ハラリと目元にかかる黒髪が色っぽい。
「レイ、お前の許しが欲しい……」
元から低めのルスの声が、欲に掠れて、クラクラするほど雄の色香を放っている。
思わず頷きそうになってから、俺は慌てて首を振る。
と言っても俺はルスに抱きかかえられてるような姿勢なので、振れたのはほんの少しだったけど。
「ダメか……?」
ルスの瞳がしょんぼりと伏せられれば、俺の胸に焦りが広がる。
「だ、だって、そこに、イムノスが居るだろ……?」
俺が罪悪感に消え入りそうな声で伝えれば、ルスはキョトンと『何を当たり前な』という顔で俺を見て、それからニヤリと悪い顔をして言った。
「だから、だろう?」
「……え?」
ルスは俺の耳元に唇を寄せると、たっぷりの欲を込めて甘く囁く。
「あいつに見せてやりたい。お前が、どんなに可憐に俺を求めるのか……」
「……っ」
ルスの熱い息が、耳に残ってじんじんする。
ルスの言葉は甘い棘のように、俺の心に刺さってじわりと熱を広げてゆく。
「でっ、でも、そんなの、俺が恥ずかし……んんっ」
ルスは俺の耳へ舌を挿し入れてきた。
「安心しろ。羞恥心なんて俺がすぐ忘れさせてやる」
水音を立てながら、ルスが耳の中に告げる。
カアっと熱くなる耳が、顔が、頭の中まで煮えてしまいそうだ。
でも、あいつは、俺の隊の副官で、今回の件の処分によっては、まだこの先も顔を合わせるかも知れなくて……。
俺はこの件を公にしてほしくないし、内々に処理されれば、その可能性は十分にあって……。
ぐるぐると悩む俺の額に、ルスは優しく口付けて、最高に男らしく笑って誘う。
「俺に、許してくれるな?」
うっ……。この眩しい笑顔に自信溢れる感じ、もう最高にかっこいいんだけどさ、いや、あれだろ?
ルスは最初から、俺は断れないと思ってんだろ?
そんな思い通りになってたまるか、と思う気持ちは、ある。一応さ、俺にもあるんだよ。
でも、こんなに真っ直ぐルスに求められたらさ……。
だって、ルス、俺のこと見せびらかしたいっつってんだろ?
俺のことを、自慢したいっつってんだろ?
そんな……、そんなの……。
嬉しすぎて、断れるわけねーよ……。
ルスは、俺をじっと見つめて返事を待っている。
ていうか、俺がまだ凄い感じんの知ってんだろ?
無理にでも襲っちまえばすぐだろうに。
ルスになら、無理にされても俺は抵抗しないって、知ってるくせに。
「レイ……?」
ルスが、そっと優しく俺を急かす。
ああくそ! 分かったよ!!
俺は、恥ずかしさに唇をぎゅっと噛み締めながら、小さく頷いた。
「……っ、ほんとに、すぐ、忘れさせてくれよ……?」
チラリと下から見上げたルスは、ギラギラした欲を滲ませながらも俺に真摯に微笑んだ。
「ああ、大丈夫だ」
言葉と共に、ルスの温かい指が俺の中へと入り込む。
「ぅ……あっ」
恥ずかしくて顔を伏せた俺の顎を、ルスはそっと持ち上げて、口付ける。
目を閉じると、少しホッとした。
イムノスの事を少しだけ、忘れられる気がした。
ルスは深く口付けながらも、舌は入れてこない。
もしかして、俺が急に感じ過ぎないように、遠慮してくれてんのかな?
ルスの太くて骨張った指が、優しく、けれど大胆に俺の中を広げてゆく。
「んっ、んっ、んんっっ」
俺の内側がどんな形なのか、ルスはよく知ってる。
「ぅ、ん……んんぅ……っっ」
どこが感じるのか、どんなに風にされると弱いのか、全部知ってる。
だから、指が増えたところで、ルスから痛みを与えられることは無かった。
「んっ、んっ、んンンッっ、んんんんんんんっっっ」
甘い甘い刺激に、びくびくと腰が跳ねてしまう。
ルスの指はゆるゆると、俺の良いところを時々撫でてはまた離れてゆく。
俺の腰が、ルスの指を求めるように揺れる。
もっと……。
もっと、良くしてほしいのに。俺のこと、知ってるくせに……。
「んっ……ぅう……ルス、ぅ……」
焦らされて上がり切った息に、俺が唇を離せば、ルスは俺の目を見つめた。
じわじわと腹の奥に溜まる快感と、待ち望む刺激をもらえない切なさに視界が滲む。
「どうしてほしい?」
「ルス……っ、知ってる、っくせに……っんんんっ」
ひくひくと震える内側が、もっともっととねだっている。
「ほら、このままでは指だけでイってしまうぞ?」
ルスはクイッと指先を曲げて、敏感なところを擦った。
「あっ、やっ、ぁああぁんんっっっっ!!」
内側がきゅっと締まる。けれどルスはそれ以上指を動かしてくれない。
「や、だよ……、俺、だけ、イくの……っ」
涙が溢れる。溢れた雫を、ルスはそっと唇で吸い取る。
頭がじんじん痺れて、熱くて、なんとかしてほしくて、俺は必死でルスを求める。
「ルス……、ルスの、入れてくれよ……、俺、ルスのじゃないと、嫌だよ……」
ニッと満足そうに微笑まれて、ルスは俺にそう言わせたかったんだと気付いた。
すっかり忘れかけていたイムノスの存在を思い出して、そちらにチラと視線を送ろうとした途端、ルスの指がずるりと抜かれる。
「ぁああんっ」
敏感になった身体が、ほんのこれだけの刺激に跳ねる。
「可愛いな、レイ……」
ルスが俺を膝の上に抱え上げながら、そっと囁く。
愛がたっぷり込められた声に、俺はそれだけでイきそうになる。
「ああっ、ルス早くっ……、早く入れて、くれよぉ……っ」
俺の後ろに、ルスがあてがったそれの感触を感じて、俺は夢中でそこへと腰を下ろした。
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