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第5話

楓へ 楓は人間だからわからなかったかもしれないけど、僕はひとめ見て、僕の番って気づいたよ。 だってとってもいい匂い。 楓と出会えて幸せでした。 ありがとう。 楓より少し早くお空に行くけど、僕はお空で徳をつんで、絶対絶対来世でも楓と一緒になるよ。 来世では身体が強く生まれてくるようにお願いするね。 そうしたら今度は一緒におじいちゃんになろう? だから、待ち合わせ場所を決めとこう。 次、生まれたら、生まれた国の一番の都の定番の待ち合わせ場所に集合しよう? 成人したらお休みの度に待つよ。 だから早く迎えにきてね? 僕を追いかけてきちゃだめだよ?そうしたら来世で一緒になれないもの。 雪花(セツカ)楓花(フウカ)をよろしくお願いします。 楓、雪花、楓花 大切な僕の家族。愛してるよ。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 出会って五年、雪は眠ったまま目覚めなかった。 元々身体が弱いとは聞いていた。しかし季節の変わり目に寝込むような事があっても死ぬようなものではなかった。 四年前、小さな双子を抱えた雪と再会したときはそれはもう驚いた。獣人では男でも孕むことがあるとは聞いていたが、まさか雪もそうだったなんて考えもせずに中に何度も注いでしまって、あの一晩の交合で孕み、出産や育児の一番大変な時に一緒にいてやれなかったことを悔いた。 それでも「この子達を与えてくれてありがとう。」と本当に嬉しそうに微笑む少し大人びた雪は立派に子を育てる親であった。 この一年間で根回しは済んでおり、雪たちは自然とこの国での暮らしに馴染んでいった。 子供たちの四歳の誕生祝いも過ぎ、やっと手が離れてきて、これから雪との二人の時間が少しずつ取れるようになると思っていた。 雪が亡くなって、最近やっと浪と暮らし始めた氷雨さんに手紙を渡された。 雪は知っていたのだ。そして氷雨さんも。思わず掴みかかって詳細を問いただす。 それは今まで幸せに暮らしてきた自分を呪い殺したいような話だった。 あの時、雪が何かしてくれたのには気づいていた。なぜ、問い詰めなかった、なぜ、雪は何も言わなかった。 あの時雪と出会わなかったら、なんて本末転倒なことばかり考えて、頭が可笑しくなりそうだった。 そんな俺を正常に戻してくれたのは雪花と楓花で。 俺とじゃないと食事も睡眠もしない。 この子たちは雪が残してくれた宝だ。 少し黄ばんでしまった手紙を丁寧に畳んで握りしめたままベッドに横になる。 雪、もういいだろうか?雪花は人間で、跡取りとして育て上げた。 楓花は雪に似た狸の獣人で幻獣の森で番を見つけた。 二人とも家族に恵まれて幸せに暮らしている。 もう側にいっていいか?一緒にいたのはたった四年なのに思い出は風化することなく、年々思いは増していく。 雪はひとめで番だとわかったのだろう? 私は日毎に番を追い求める。 私も人間ではなく、獣人として幻獣の森で生まれ、雪と出会いたかった。 白い光に包まれて、その先で雪が笑ったように見えた。 「おいこら。なぁんで俺が十年以上待つんだよ。」 「・・・今何歳?」 「今年で三十二。」 「え!?僕、やっと二十歳になって、成人したから今日からずっとここで待とうと思ってたんだよ!」 「何か言うことは?」 「えっと、ごめんなさい。」 「身体は?」 「ちょっと喘息あるけどその他は健康です!」 「バース性は?」 「男性体のオメガです!」 「花丸だな?」 「えへ。ぎゅうして?」 「相変わらず可愛いなァ。」 「待たせてごめんなさい。だいすき!」

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