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触れられることに慣れていないそこは、先端だけは少し濃い桃色をしているけれど、他は肌の色とほとんど変わらない。 可愛い顔に似合わぬグロテスクな作りに成長してしまうことを恐れていたが、この分では馨の杞憂で済むだろう。 「そのままにしておいてよかった」 どうせ葵には必要のない器官、そう考えたこともあった。だが、今となっては、これほど可愛らしい部分を失わせるなんて、愚かな真似でしかない。過去の自分の選択を褒めてやりたい。 「葵がエッチな気分でいるか、すぐにバレてしまうしね。ほら、もう触ってほしくて仕方なさそうだよ」 「やぁ……あ、んっ」 つーっと伝う先走りの雫を追いかけるように、裏筋を指でなぞる。そして指先で掬った粘液を塗り広げるように握り込んで数度上下に扱き上げれば、ますます硬度を増していく。 おまけにひっきりなしに蜜を溢れさせる先端を指の腹でさすってやれば、葵の体の震えがひどくなる。 「あぁぁッ、や……んんッ」 「こら、誰がイっていいって言った?敏感なのも考えものだね」 肘掛けを掴んで腰を浮かせる葵の行動を見咎め、馨はすぐに指で作った輪で根元をきつく戒める。やはり勝手に絶頂を迎えようとしていたようだ。すんでのところで止められた葵は泣きながらイヤイヤと首を振る。 あれだけの手淫で簡単に達してしまいそうになるのは可愛いが、遊ぶには不向きだ。 胸や後孔への刺激でイく分にはそれほど厳しい管理をしたことはなかったし、むしろ体に快楽を刻み込むよう、好きなだけ射精させてやってきた。けれど、そろそろここにも躾が必要なのかもしれない。 生憎今は教育に向いた道具はない。だから馨は葵のウエストからリボンを抜き取った。 「や、いや……やだ」 指の代わりに根元へとリボンを巻き付けていけば、葵からは珍しく拒絶の言葉が出てきた。 幼い頃から徹底的に調教はしてきたが、体に痕が残りやすい拘束を経験させたことはほとんどない。葵をよほど厳しく叱り、躾ける必要があった時だけだ。だから葵は恐怖を感じるのだろう。 「大丈夫、怖くないよ。少し我慢を覚えるだけだからね」 泣きながら怯える葵を慰めながらも、馨はしっかりと戒めの飾り付けを施した。怖がるせいで少し萎えてしまったけれど、その分次に膨らんだ際はきつく締め上げられて苦しい思いをするだろう。 「ラッピングされてるみたい。こんな可愛いプレゼントが届いたら、すぐに食べてしまいたくなるね」 泣き続ける葵とは反対に、馨は鏡に映る光景に満足していた。ワンピースと同じ、淡い紫色の光沢あるリボンを巻き付けられたそこは、早く解放してほしそうにふるふると揺れている。じんわりと滲む雫の伝った部分が濃く変色しているのも、視覚的ないやらしさを増していた。

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