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キャンキャンチワワ

僕にとっては貴重な昼休みの時間。 なのに。 「キャンキャンッ!!キャンッ」 あれれ、僕の耳っておかしくなっちゃったのかな。 キャンキャンにしか、聞こえない。どうしよう。 ついにおかしくなっちゃった。 はぁ、元からおかしいのに。 「ねぇ!聞いてるの!?」 「あ、ちゃんと聞こえた」 「は!?あんた、馬鹿にしてるの?」 「いえ、馬鹿にしてないです」 瀬野先輩、ほんとにチワワみたい。 「えっと、・・・何でしたっけ?」 「だーかーらーねぇ!あんたさ、長谷川様と付き合ってるってどういうことなの!?」 「いえ、どうこうもないと思いますが」 「あー!!ムカつく!」 いや、ムカつかれても、、、。 「それで!!付き合ってるの?」 「・・・まぁ、はい。そうなりました」 「っ~!!!長谷川様親衛隊の代表として言わせてもらうけどねぇ。 あんたなんか長谷川様に身の丈に合ってないのよ!」 ・・・そんなこと、言われなくても分かってる。 「・・・・・瀬野先輩」 「なに」 「僕は、瀬野先輩が思っている以上に、みあっていないと思っています」 「なら別れなさいよ!」 「・・・それでも、こんな至らない所ばかりで、迷惑な僕を選んでくれたのは他でもない、聖人先輩です。 僕は、聖人先輩の想いを1度は無視しようと思いました。 でも、先輩はずっと想い続けてくれたんです。 聖人先輩は、僕の恋心を初めて自覚させてくれたんです」 「っ・・・」 瀬野先輩のこと、あまり好きじゃない。 だけど。 「瀬野先輩も、聖人先輩が好きだったんですよね」 「奪ってしまう形になってしまって、すみませんでした」 「それでも、僕は先輩が好きなんです」 そう、僕は聖人先輩のことが、好きなんだ。

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