5 / 105
怖い
「おい」
「っ・・・・・あ、あのっ」
「そこでなにやってる」
怖い。
なんか、声をかけてきた。
制服を着ているから生徒かな・・・。
でも、何か怒ってる、気がする。
「おい、答えろ」
だめだ、明るく、嫌われない様に。
怖くても、愛想良く。
「すみません、実は寝坊して遅れてしまって。
今日からこの学校でお世話になります、神風悠眞といいます。
門が閉まっていて入れなくて・・・開けていただけませんでしょうか?
・・・・えっと・・・先輩、ですよね?
御迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」
笑顔で、愛想良く。
相手の機嫌を損ねないように言葉を選んで。
でも・・・・・・怖い。
「あ、ああ。
今度からは寝坊して遅刻するのは気をつけろ。
今開けるから。先生達にも俺から言っておこう。
まず職員室に行くぞ」
先輩は締めた顔を緩ませ言った。
良かった。
でも、職員室か。
母さんが僕のこと説明してくれている筈、だよね。
でも心配だな。
「失礼します、3-Sの長谷川聖人です。
探していた新入生を連れてきました」
「同じく失礼します、遅刻してすみませんでした。
新入生の神風悠眞です」
やっぱり、、怖い。
大人だ、機嫌損ねたら・・・どうしよう。
でも、笑顔で。
反応を伺いながら。
「ああ、行方不明だったのは君だったのか。
春香ちゃんから話は伺ってるよ」
あ。
「政信〈マサノブ〉叔父様・・・、お世話になります」
そうだ、この学校には政信叔父様がいたんだ。
それなら、安心。
でもまあ、怖いという気持ちは変わらないのだけれど。
「理事長?・・・新入生、理事長を知っているのか?
それに春香ちゃんって・・・」
「春香ちゃんって言うのは僕の母で政信叔父様・・・理事長さんとは母の古い知り合いなんです」
「そうだったのか」
本当に良かった、政信叔父様がいて。
でも、政信叔父様に嫌われたら・・・ああ、怖い。
ともだちにシェアしよう!