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教室

「奈宮先生ー、悠眞連れてきたー」 「悠眞?・・・ああ、神風悠眞か?」 「そそ」 「神風、初めましてだな。 俺はお前の担任の奈宮誠司〈ナミヤセイジ〉。 よろしくな」 「あ、はい・・・。 神風悠眞です、遅れてしまいすみません」 「いや、いい」 一瞬、僕の名前を聞いた奈宮先生の顔が驚いていた。 やっぱり政信叔父様から話が届いていたんだ。 誰も僕を知らない所へ。 そんな世界へ行きたいよ・・・なんて。 馬鹿げてるね。 「もう生徒の自己紹介は終わったんだか・・・まあいいか。 5時限目は俺の担当だし俺はいいんだが・・・・、神風。 お前、できるか?」 やっぱり、知ってて聞いてるんだ。 なんか、複雑。 「せんせー、できるか?っておかしくない?」 「あー、まぁ、な」 「先生、大丈夫ですから」 俺をそんなに、何も出来ない者扱いしないで。 「ん。じゃそろそろ5時限目始まるから早水は席につけ。 神風は俺の隣に来い」 「はい」 「席つけー。1人来てなかった奴がいるから自己紹介させる。静かにしてろよ」 「・・・静かにさせなくても良かったんですけど」 「まあいいじゃねぇか」 必死に強がって、手が震えているのを後ろに隠したつもりだったのに。 だけど奈宮先生がその震えに気づいてそっと手を握ってくれた。 一見、チャラそうで頼りにならなさそうだけどちゃんと頼りになるんだなぁ、と思った。 ・・・失礼だね。 「・・・・・・神風悠眞です。仲良くしてください、よろしくお願いします」 二言、三言言い終わると先生が僕の耳元で小さく囁いた。 "放課後、話が聞きたい"、と。 コクン、と頷いて肯定の返事を返した。 「せーんせ、悠眞の席俺の隣じゃダメー?」 「早水の隣?・・・まあそりゃ神風に任せるが」 「僕は皐太くんがいいなら・・・だけど」 「おし、んじゃ決まり」 ざわざわと騒がしくなった。 それもそうだろう、何故か皐太くんが手を繋いできたのだから。 ・・・まさか、さっきの先生に手を握られたのが気づかれた? いや、そんなことは無いはず。 でも――――・・・

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