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「晴、腰まだ痛む?」
先輩がペットボトルの水を含んで、僕の口に移す。少し溢れたものと唇を、優しく舐めてくる。冷えてるはずのミネラルウォーターは温く、なぜか甘い。
寝乱れたまま放置した隣のシングルベッドを睨んで、僕は糊の利いたシーツの間にモゾモゾと潜り込む。
「騙された。渡辺晴、って女子高生宛だ」
騙された。僕が抱かれる方だって発想は無かった。
「よかった。私に恋敵は存在しなかったんだね」
「よくないですよ。人違いなんて、ラブレター書いた人が可哀想です」
薄い掛け布団ごと抱きしめられる。重い。
「凄い。決められたルールから逸脱しても、叶った」
真上から、しみじみと満足気な声がする。
「それに、騙されたのは私もだ。私宛のコレ、ラブレターじゃないだろう?」
「ちゃんと僕の手書きですし、ちゃんと本心です」
ちょっと悔しくて、顔だけ出して先輩の唇に噛みついた。
『メリー・クリスマス!
これからも末永くよろしくおねがいします
渡辺晴』
【終】
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