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嫉妬⑤
矢沼を見つめて俺が真顔でそんなことを言うものだから、矢沼の言葉が止まった。
…あれ、違ったの…か?
「……改めて言われると、なんか…照れるでしょ」
俯いてほんのり頬を染めた矢沼を、俺は初めて見たかもしれない。
そんな天使な矢沼に、うおぉおお~!!!!と雄叫びを上げるクラスメイト。
うん、気持ちは分かるが黙ろうか。
それにしても、十葉くんの連絡先教えてもらえないなんて予想外すぎてまだ受け入れができてない。
あぁーあ、十葉くんとは良き友人になれそうだったのに、ショック…。
「…ていうか!!シノは僕よりあんなヤツの連絡先を知りたいって思うの?」
僕の連絡先なら教えてもいいのに、と頬を膨らます矢沼に首を傾げる。
あぁーなるほど。
俺たち連絡先知らないんだっけ、と頭に豆電球が光りそうなほど明るく言えばペシッと後頭部叩かれた、湯田に。いてて。
そのまま首飛んでったらどうするんだ、暴力反対だぞ、ふん。
涙目で睨むと、そいつは自分のスマホを俺に差し出して"なにか"を促す。
その"なにか"は俺でも分かったのだけど、なんだか照れ臭くって「なに」と素っ気ない言葉しか口にできなかった。
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