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第三章 初体験

9.前戯    一人シャワーに当たりながら冷静を装っているが、頭は全然冷静ではなかった。  落ち着かなくては…と言い聞かせて手の平をぼんやり眺める。少し震えて見える。たぶん、幻覚とかではない。緊張して震えてるなんて、初めてかもしれない。  一生、自分の人生になくてもいいと思っていた。知らないままで人生を終わってもいい思っていたのだ。それなのに…。  心臓が破裂しそうなほど、ドクドクと音を立てて、痛く感じるほどだ。  あぁ、だめだ、熱いし、痛い…!  俺はとっさに股間をギュッと握りしめる。  自分でも恥ずかしくなるほどに、反り立つ股間が熱く、脈打つような感覚が分かる。  それだけでたまらなくなる。  すると、風呂のドアがドンドンと叩く音がした。ハッして背後を振り返る。 「和美ちゃん、大丈夫ー?遅くね?」 「あ、もう終わった!」 「おっけー」  危ない、ぼんやりしてたらしい。最後やり残したことを済ませ、浴室から出る。 「お、バスローブエロいな。俺もすぐ上がる」  そう言った鷹也が浴室に消えた後、一人の部屋に布団を被って丸くなる。いざそう言う展開になってくると今じゃなくてもいいのではないかと言い訳を並べ立ててしまいたくなる。嫌ではないが、怖気づいてるのは確かだ。 「和美ちゃーん、それ取っていい?」  不意に降ってきた声にビクリと肩が跳ねる。 「だ、だめだ…」 「…でも、それじゃ何も出来ないよ。ねぇ、和美ちゃん…顔見せて」  ベッドがギシッと軋み、マットレスを伝わり近寄ってくるのが分かる。それに伴い心臓もおかしくなりそうだ。  布団がパッと捲られ、顔が外に出る。 「お、初めて見る顔だ」  鷹也は嬉しそうに言うと、そこから布団を全部取り、バスローブ姿の俺を抱きしめた。  そんな鷹也の下着姿にギョッとする。 「お前…服は…それで来たのか?」 「うん。どうせ脱ぐから。和美ちゃん、ガチガチな。ゆっくりやろ」  鷹也がそのままの体勢からキスをしてきた。  俺は、不甲斐ない自分に申し訳ないと思いながらそれに必死に応える。 「ふっ…和美ちゃん、今日すごい可愛いな」  そんなの、どうでもいい。早く、何も考えられないようにしてほしい。ただ、それだけ。 「あれ?…和美ちゃん?まぁいいや」  俺が答えないのを見て不審に思ったらしいが、俺の顔を見るなり満足そうに頷いた。  そこからは一方的な言葉攻めだった。 「気持ちよさそうにしてるいいよな。ほら、バスローブ邪魔だから脱がすよ?…ん、乳首たってる…可愛い、舐めてほしそう」  俺は鷹也が何を言っても恥ずかしくて、されるままにする。  舌先からついに乳首を含んだ。温かい舌が当たり驚くのもつかの間、コロコロと乳首と乳輪を刺激されて大きすぎる快楽に声が止まらない。 「あ!?まっ、そこ、は…あっ…」 「はは…珍しいね、和美ちゃんここ良いの?本当にえっちで可愛い…」  恍惚とした表情で見下ろされ、口の端から垂れる唾液を舐める仕草は、とてつもなく煽情的だった。 「そろそろ大丈夫かな」  何が大丈夫なのか。そう思った時、両足を抱えられそこから左右に広げられる。  分かりやすい説明として、M字開脚と呼ばれるやつだ。 「あっ!?」  鷹也はすぐに下着も取り去ってしまう。  さすがに秘部をさらけ出すのは抵抗があり、サッと前に手をやり隠す。そんな様子を楽しそうに見下ろしながらベッド脇に移動し、ラブホ特有のアメニティと言うべきか。小さな四角いものを3つとボトルを持ってくるなり、精器に直接ボトルの中身を垂らした。 「うわっ、つめたっ」 「これラブローション。男同士には必須なんだ。我慢して」  垂らしたローションは精器から流れて、そのまま尻の方まで降りていき、後孔に触れた時、さっきの比ではない感覚に驚く。 「だめだっ、変っ」 「大丈夫。これからコレで気持ちよくなるんだから我慢して。ほら、もう期待で溢れてきてる」 「嘘だっ」  言葉にしなくても分かっている。もう、怖さなんかより先を知りたいと思ってる。 「指、挿れるな」  ツプリと人さし指が入っていくのが、鷹也に持ち上げられた下半身の加減で自分からも見えてしまう。羞恥で頭がおかしくなりそうだ。  ローションと指が後孔を律動して、卑猥な音を出し始める。 「次、二本目」  言わなくていい!と言おうにも、すぐにやってくる刺激に何も言えなくなってしまう。  否応なしに責め立てられ、足がガクガクしてきた。 「和美ちゃん、もう三本目だぜ。実はちょっと準備してただろ」  そうだった、風呂場で少し試して一本しか入らず断念したのだった。そんなことを素直に言うことは出来ず、無言で耐える。 「ははっ…和美ちゃん本当にエロいよ。優等生とは思えないほど淫らで、綺麗だよ」  鷹也は後孔から指をようやく抜くと、指に付いた液をそのままに自らも下着をズラしてしまう。すると、出てきた聳り立つ精器に指の液を塗りこんでいった。  そのあまりにも目が離せない光景に俺はゴクリと喉を鳴らした。 「…もう、限界」  と、鷹也が言った。

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