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第291話 永遠の誓い

「流れ星に何かお願いしてみませんか?」  僕の提案を相良さんは「いいね」と微笑んでくれる。僕は数秒悩んだ末に「決まりました」と伝えた。 「李子は何をお願いするの?」 「僕と優希さんが一生一緒にいれますように」  目を閉じて両手を合わせ流れ星の方向に軽く頭を下げる。だから気づかなかった。相良さんが僕の言葉を聞いてどんな表情を浮かべていたのか。 「優希さんは何をお願いしたんですか?」  僕は静かに瞳を開いて隣にいる相良さんに聞く。すると彼は──。 「俺と一緒に歳を重ねる李子を一番近くで見守れるように」  指先をとられて恭しく手の甲に接吻される。まるで自分が王子様に選ばれたお姫様のように感じて「ふふ」と笑う。 「……おじさんぽかったかな」  相良さんは少し肩をすくめている。僕はふるふると首を横に振って繋いだ相良さんの手の甲に接吻を返した。 「すごく──僕はいま幸せです」  ゆっくりと相良さんの唇が近づいてくる。艶びた柔らかな唇が触れて心が震えた。震えたのは心だけじゃなくて魂かもしれない。  ──ああ。好きだな。大好きだな。あの日僕の手をとって雨の中を駆けた日からずっと、僕は貴方のことだけを見つめて追いかけてきた。 「李子。愛してる」 「僕も優希さんのことを愛しています」  再び唇を重ねた瞬間、窓の外は幾筋もの流れ星が舞い落ちて水平線の向こうへと消えていった。それは僕らを祝福するようにきらきらと空に瞬いた。数多の星の光が僕らのことを照らして美しい未来へと導く道標のように。

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