９ー３　腐は、永遠よ。 　しかし、問題なのは、キュウが俺が死んだら世界を滅ぼすということだった。 　俺は、いったいどうすればいいんだ？ 　ある日、俺は、レクルスのもとへと召喚されていた。 　レクルスは、俺が悩む姿を見て、放っておけなかったのらしい。 　レクルスは、俺にきいた。 　「どうしたの？父様」 　「いや、俺、あとどれぐらい生きられるのかなって思ってさ」 　「後どのぐらい父様が生きるか？」 　レクルスは、おかしな表情を浮かべた。 　「父様は、まだ知らないの？」 　「何を？」 　「魔王城の核となる者は、その時間が止められているってこと」 　マジですか？ 　俺、初耳なんですけど？ 　俺は、レクルスに訊ねた。 　「マジで？」 　レクルスは、頷いた。 　俺は、唖然として呟いた。 　「そんな話は、きいたこともない」 　「そうなんだ」 　レクルスは、笑った。 　「まあ、俺だって神木の王とならなければこんなこと知らなかったんだろうけど」 　マジかよ！ 　俺、時が止まってるのか。 　なら、当分、キュウが世界を滅ぼすことはないな。 　俺は、ほっとしていた。 　子供たちの生きる世界。 　愛しい人々の住む世界。 　永遠に続くことのないこの世界が、できるだけ長く続くことを俺は、望んでいた。 　 　あれから数年。 　子供たちも成長して立派な青年になった。 　奥様と勇者様は、婚姻の儀を結び奥様は、はれてこの世界のほんとの住人となった。 　『渡り人』は、神の祝福を受けるが、この世界の住人ではないからこの世界の大地にかえることはない。 　この地の者と結ばれて初めてこの世界の本当の住人となるのだ。 　奥様の『通販』は、大成功を納めていた。 　ミミル先生とサナは、なんと今では８人の子持ちになっている。 　子供たちはみな、ミミル先生に似て魔術の才能が豊かだ。 　ハツ様とルルゥ様は、無事に許されて婚姻の儀を結んだ。 　俺は。 　あれから６人の子供を産んだ。 　１人は、シロアの子だ。 　そして、４人は、ガイとテオの子供だ。 　残りの１人は、キュウの子供だ。 　キュウは、やっと少年から青年の姿になりつつある。 　キュウは、俺だけにそっと言った。 　「俺たちの子供が生きる世界だ。半永久的に続くように俺たちで見守っていこう」 　奥様は。 　男と男の恋の物語を綴った本を何冊も出版して売り出した。 　今では、そういった物語を専門にする詩人も存在する。 　そして、彼らはサロンの花となっていた。 　奥様は言った。 　「腐は、永遠よ」